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世界の道を走りこんで進化した新型スズキ・ジムニーのメカニズムをチェック (3/3ページ)

世界の道を走りこんで進化した新型スズキ・ジムニーのメカニズムをチェック

オフロードでの走行性と信頼性が格段に向上

 ジムニーのエンジンは、従来のK6Aターボからほかのスズキ車と同じR06Aターボへチェンジした。このエンジンはFF用では横置きレイアウトだが、新型ジムニーは伝統のFRレイアウトを採用するため、縦置きとなっている。

 新旧のスペックを比較すると、形式としては水冷4サイクル直列3気筒インタークーラーターボの総排気量658㏄という点では同じだが、K6Aはボア×ストロークが68.0×60.4mmでストローク/ボア比では0.89のショートストローク型なのに対し、R06Aは64.0×68.2mmでストローク/ボア比では1.07というロングストローク型という大きな違いがある。

 これによって吸気のタンブル(縦渦)流を大幅に強化することで混合気を強くかき混ぜ、燃焼速度を上げることが可能となり、燃費や環境性能を大幅に改良している。また、スパークプラグを細径にすることで、もっとも高温となる燃焼室周辺の冷却効果を高め、圧縮比もK6Aの8.4対1から9.1対1へと大きく向上。これも燃費向上につながっている。

 吸気側にはVVT(連続可変バルブタイミング)機構が装備されたので、運転状況によって最適なバルブタイミングに調整できるようになっている。燃費面では、より実走行に近いとされる新基準のWLTCモードでの表記に切り替わり、5速MTで16.2km/L、4速AT車で13.2km/Lとなる。

 先代が旧方式のJC08モードで、それぞれ14.8km/L、13.6km/Lであったことからカタログ値以上に実燃費の向上が大きいと言えるだろう。さらにターボの過給エアを冷やすインタークーラーがエンジン上からラジエーター右の前置きレイアウトとなり、走行風がダイレクトに当たることで通過風速は約1.3倍にアップ。これにより先代のフード上エアスクープは廃止となった。

 一方ジムニーシエラのエンジンは、先代のM13Aから1.5LのK15Bへと刷新。今年モデルチェンジした、インドネシア向けのエルティガから搭載している新開発エンジンと同じ型式ではあるが、これはシエラ用に開発されている。

 基本的なスペックは水冷4サイクル直列4気筒の自然吸気型で、M13A同様に吸気VVTを装備。ボア×ストロークは74.0×84.9mmでストローク/ボア比1.15のロングストローク設計。圧縮比をエルティガ用の10.5から10.0に0.5下げることで、世界市場を考慮したときの燃料品質のバラ付きにも対応できるようにしている。

 出力のスペックは、M13Aの最高出力88馬力/6000rpm、最大トルク12.0kg-m/4000rpmからそれぞれ102馬力/6000rpm、13.3kg-m/4000rpmへと大きく向上。また燃費性能も、WLTCモードで5速MTが15.0km/L、4速ATで13.6km/Lとなっている。

 さらに両エンジンとも、MT用ではフライホイールの厚みを増すことで回転慣性力を大きくして、オフロードで求められる低速域の粘りを強化したほか、悪条件下での信頼性を高めるための対策を実施している。補機ベルトへの被水や異物噛み込みを防ぐ樹脂カバーの装備や、吸気口の位置を高めるとともに、開口部を工夫するなどして渡河走行や深雪路での水や雪の浸入を防ぐ構造が採用されている。

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