最近のクルマでは電気系統の水没が致命傷になる
豪雨の増加に従って洪水も増えていることから、水没車が問題になっている。水没してしまったから、新しいクルマにするかというのはなかなか難しいわけで、直して乗るというのも選択肢として出てくるのは当然だ。
ちなみに洪水による水没であれば車両保険を使って修理することは可能(津波が原因はダメ)だが、修理不可能な場合は全損扱いとなる。一見すると、それはそれでいいのではと思うが、全損扱いといっても全額補償されるわけではなく、そのときの価値分しか補償されないので、次のクルマを買う足しにする程度のことも多かったりする。
では、水没したクルマはどこまでの被害なら修理が可能なのだろうか。まずフロア程度なら問題なく修理は可能だ。というか、修理というより、洗浄で復活するだろう。肝心のエンジン本体は中に入っているオイルが出てこないようにできているほどなので、水に浸かっても基本的には大丈夫。
ただ、マフラーやエアクリーナーからシリンダーに水が入った場合は注意が必要で、キーをひねって動かそうとすると(動けばだが)、ピストンと水が当たって、破損してしまう。いわゆるウォーターハンマーと呼ばれる現象で、これを考えるとエンジン上部までが浸かるとダメだろう。
また、昨今の水没で問題になるのが電気系だ。エンジンまわりだけでなく、インパネ内部やドアの内側など、さまざまなところに配線が大量にあり、多くのコンピューターが配置されている。これらが浸かると復活の可能性はかなり低くなる。つまりクルマの半分が浸かるとダメになると思っていい。もちろん浸かった時間にもよるので、むやみに動かさずにプロに相談するようにしたい。
また無理矢理復活された不調車が、見た目はきれいにして中古車市場に出回る可能性も指摘されているので、水害地域ではないからと安心してはダメ。とくに相場より安い中古車を買う際は、履歴を確認してから買うようにしたい。