先進の安全装備も充実している
その様な見た目の演出の傾向は室内にもある。センタークラスター上部のエンジンスタートボタンを押すと、その上部から時計がせり上がってくる。その時計のデザインもそうだが、センタークラスターからコンソール、メーターパネルなど、どこを見てもワクワクしてくる様なキラギラとした加飾が施されている。
落ち着いた雰囲気を好みの方はアレルギー反応を示すかもしれないが、外装を気にいる方は内装も同時に気にいるであろう統一感がある。この様に誰にでも受け入れてもらえるクルマ作りと言うより、個性を極めてそれに共感する方に所有して満足度を深く高めてもらいたいというDSのメッセージを感じるところだ。
グレードラインアップは、「ソーシック」と「グランドシック」の2種類。「ソーシック」には2リッターディーゼルターボエンジン仕様しかないが、装備充実のグランドシックにはディーゼルに加えて、1.6リッターガソリンターボ仕様の設定もある。共に8速ATが組み合わされる。
先にグレード選びのポイントを1つ言うと、安全装備の充実を計りたいならグランドシックだ。Cセグメントでは珍しい、夜間の歩行者や動物まで発見可能な能力を持つナイトビジョンまで選択可能になる。運転支援はトラフィックジャムアシストもつき、渋滞でも安心感高くサポートしてくれるのが嬉しいところ。
乗り味においては、グレードの違いよりもディーゼルかガソリンかが大きく影響していると踏まえた方が良い。まずCセグメントをイメージして乗ると、えっ? と思うほど大きく感じるだろう。見切りが良い訳ではないので 、やはり全幅1895mmは日本の交通環境だと気を使うケースがある。しかしそのお陰で揺れが少なく、カーブでの安定感や踏ん張り感が高いのも事実。
さらにCセグメントでは珍しいが、全車に路面読み取りによる電子制御サスペンションの減衰力調整機構を入れている。具体的には5-25m先の路面の起伏を読み取り、足まわりの硬さを調整するフォワード制御を、走行モードをコンフォートにした時に限り使うのだ。これを使った時の突き上げの少なさは見事。20インチホイールにも関わらず、エアボリュームが豊富で適度にフワッとした乗り心地を実現。背景にはメインスプリングを比較的柔らかめにセットして、減衰力を巧みにコントロールしてフワフワやグラグラの動きを抑えて走らすセットアップを感じるところ。
ちなみにその様な背景からもわかると思うが、コンフォートの時のハンドリングは、ビシッとはしていない。若干ダルな感覚さえ抱く穏やかな仕上げだ。
その様なメインスプリングが柔らかめの味付けだからか、エンジン重量でフロントが重くなるディーゼルだと、前後方向の傾きの揺れが生じやすい。コンフォートモードを駆使して突き上げ姿勢変化も少なく穏やかな乗り味を求めたいなら、両者しっとりしているが、より軽いうえに滑らかで振動少なく稼働するガソリンモデルのほうがフォワード制御との相性が良くおススメ。
ノーマルモードでは、ガソリンとディーゼルの差は少なくなる。もちろんディーゼルの低回転トルクの充実ぶり、ガソリンモデルの振動の少ないしっとり感や吹き上がりのスムーズさはあるが、コンフォートの時のフロントがフワフワする揺れ方では減衰力が高まっておりディーゼルでも落ち着き感がある。
ちなみにノーマルにするとフォワード制御がなくなり、絶えず一定以上の減衰力が出ているからだろう、ハンドルにビシッと芯が出たように手応えがしっかりするうえに、路面の起伏など状況もつかみやすいし、グリップ感も同様で、クルマとの距離感が近くなり乗り心地は若干損なわれるが運転しやすくなる。