ライバルは日産パトロールとスズキ・ジムニーシエラ
オーストラリアの砂漠を2日間かけて縦断する”フィンクデザートレース”が6月に開催された。このレースの第一回大会は1976年とその歴史は長く、毎年参加者が右肩上がりで増加するなど、現地の老若男女が注目するほどの人気のレースなのだ。
その名が示す通り、戦いの場となるコースはあたり一面は小麦のようなキメの細かい赤土がどこまでも続く砂漠。コースはオーストラリアの中心に位置するクリーンズランド州のアリススプリングスを起点として、約220km離れた折り返し地点のフィンクを往復するという内容だ。簡単に言ってしまえば、いかに早くアリススプリングスに戻ってこられるかによって順位が決まる、いわばオーストラリア版キャノンボールだ。
今回は日本から唯一&初参加となったTRD ハイラックスレボについてリポートする。
2016年から参加しているアジアクロスカントリーラリー(以下、AXCR)では、TRDとTRDアジアの合同チームで参加しており、TRDとしてレースに出場するのはこれが初なのである。
出場するマシンはタイで販売されているハイラックス レボ。昨年のAXCRを走行した同一のマシンである。
今回、並み居るライバルは専用のサスペンションなどを採用するなか、あくまで市販車に近い状態での出場にこだわったため改良した点は大きく2カ所と極めて少ない。まずストロークを増し、デュアルダンパー化したサスペンションやより柔らかいリーフスプリングに改良。
それに加え、レギュレーションに対応するために既存の燃料タンクに加えて、新たに燃料タンクを荷台に設置。もともと80ℓのところ150ℓの燃料を積載できるのだ。
レースの出走順を決めるプロローグランの前日に行なわれる前夜祭では、TRD ハイラックス レボのまわりには珍しさもあり大勢の観客が押し寄せ、現地での注目度の高さが伺えた。
記念すべき初参戦でステアリングを握るのはAXCRをはじめ、オーストラリアのSXS全豪選手権などで活躍中の新堀忠光選手だ。コ・ドライバーは全豪ラリー選手権で3度の優勝経験があるグレン・ウェストン選手という豪華なメンバーでの出場となった。
そもそもハイラックス レボはこのレースの中でエクストリーム4WDというクラスに属す。このクラスは全3台が出場し、興味深いのはいずれも日本車ということ。もっとも大きい5700ccのエンジンを搭載する日産パトロール(日本名:サファリ)と1400ccのエンジンを搭載するスズキシエラ(日本名:ジムニーシエラ)だ。
ここでレースの話に戻ろう。先に述べた、プロローグランで走行するのは、本番のレーストラックではなく周回コース。とはいえ、アップダウンの激しい本番さながらの険しい道もあり、いっさい気の抜けないコースだ。
じつに2輪車が34台、4輪車が9台もリタイヤとなるなか、ハイラックス レボは難なく走破。前日までにドライバーの新堀選手とコ・ドライバーのグレン選手やメカニカルスタッフとともに砂漠に適したセッティングに調整したことが功を奏したのだ。肝心な結果はというと、残念ながらトップの日産パトロールに0コンマ6秒の差でクラス2位であった。
次回はレース本番のデイ1とデイ2の様子をリポート! 果たしてハイラックス レボの結果はいかに?