「需要より1台少なく作れ」のフェラーリ哲学が生む価値
編集部ハラダより、「なぜフェラーリ458は、いまだにあんなに値段が高いんでしょう」との疑問が発せられた。
ハラダ「発表から10年が経過して、新車価格付近を維持するというのは、やはりスーパーカーの魅力なんでしょうか?」
それはもちろんそうだが、論理的に言えば、中古価格は需要と供給の関係だけで決まる。つまり、フェラーリが欲しい人は多いが、フェラーリの流通台数は多くない。だから値段が下がらない。それだけのことだ。
フェラーリに限らず、スーパーカーの価格がおしなべて下がりにくいのは、ひたすらこれが原因だ。フェラーリだろうとランボルギーニだろうと、流通台数が多すぎたり、欲しい人の数が減ったりすれば、価格は下がるし、ときには暴落する。
確かにフェラーリ458シリーズはすばらしいクルマで、私も約5年間愛したが、クルマの性能と中古価格は、直接関係はない。ちなみに私の場合、2012年に458イタリアをコミコミ2580万円で購入し、2017年に2200万円で売却した。あれだけのクルマに5年間乗って、380万円しか下がらなかったのだから、「フェラーリを買わないヤツはバカ」という私の説は、あながち暴論ではないだろう。
ところで、フェラーリ458の中古価格は現在どれくらいか? 中古車サイトによると、以下のようになっている。
458イタリア/平均2400万円
(新車価格/2830万円)
458スパイダー/平均3100万円
(新車価格/3060万円)
これを見ると、458イタリアのほうはそれなりに値下がりしているが、それでも新車価格の8割以上を維持。スパイダーに関しては、わずかながら新車価格を上まわっている。
この差もまた、需要と供給によって決まっている。スパイダーのほうが販売台数がかなり少なかったため、希少価値が高いのだ。なぜスパイダーの販売台数が少なかったかと言えば、フェラーリ本社側が、それしか割り当てなかったら。スパイダー人気が爆発し、納車待ちが2年にまで伸びても増産などしなかった。