走りを変えるならサイズは純正のままで銘柄を変えるほうが先
タイヤを交換する際に、せっかくだからインチアップしてドレスアップしたい、タイヤのパフォーマンスを上げたい、と考える人も多いだろう。こうした場合、タイヤの外径を変更せずに保安基準さえクリアできれば、基本的にどんなサイズのタイヤを履いても構わない。
ただし、クルマのバランスを考えるなら純正サイズ、もしくは純正オプションのサイズがベストだろう。タイヤはクルマの走りを大きく左右するパーツなので、自動車メーカーもそのクルマを開発する段階で、タイヤのサイズ・パフォーマンスを十分検討している。そのうえでボディ、サスペンションジオメトリー、ダンパー、スプリングなどを設計している。
もちろんコストも大事なファクターなので、どのクルマにも最良のサイズ、最良の銘柄が与えられているわけではないが、クルマとのマッチングに関しては間違いのないサイズが選ばれている。そういう意味で、クルマのキャラクターとのマッチングを優先するなら、純正サイズか純正オプションのサイズからタイヤを選ぶのが一番だ。
とくにちょっと旧いクルマの場合は、タイヤをサイズアップするとクルマの“乗り味”が変わってしまう。タイヤを交換すれば、乗り心地、グリップ力、レスポンス、インフォメーション、コントロール性、燃費、ノイズ、コスト、ルックス、といったすべてが変わるが、同じサイズのタイヤでも銘柄を変えることで、その優先順位を変更することはいくらでもできる。
ドレスアップに関しては、やはりサイズ変更をしないと大きな効果は得られないかもしれないが、インチアップするとホイールもタイヤも高価になるので、ランニングコストは上昇する……。
最近の一部のクルマには、純正装着タイヤが妙にロープロファイル過ぎて、アンバランスな印象を受けるケースも稀にあり、できればインチダウンを勧めたくなるクルマもなくはないが、これはあくまで例外的。それ以外に関しては、サイズ変更ではなく、銘柄のセレクトで考えた方が賢いやり方といえるだろう。