フリクションと重量が主な原因となる
FFと4WDが設定されているクルマは多いが、そのほとんどすべてにおいてFFのほうが燃費性能に優れている。「4WDは燃費が悪い」というのは一般常識といえるだろう。たとえば、日本一売れているホンダN-BOXのNAエンジン車で比べると、FFの燃費(JC08モード)が27.0km/Lなのに対して4WDは25.4km/Lとなっている。
その理由を単純化すれば、重量とフリクションの違いによるところが大きい。まず重量については、FFに比べて前から後ろに駆動を伝達するプロペラシャフト、後輪の左右に駆動を伝えるためのディファレンシャルとドライブシャフト、そのほか後輪への駆動制御を担うビスカスカップリングなどなど部品点数が増えてしまう。N-BOXの同等グレードで比較すると50kgほど重くなっている。FFの車重が890~900kg程度なので、5%程度の重量増だ。
もう一つのフリクションについては、前述したように後輪の駆動系が増えてしまうことで、それらを由来した引きずり抵抗が増えてしまう。
レンジローバーなど高価なSUVではプロペラシャフトの前後にクラッチを設けて、二輪駆動でカバーできるシチュエーションにおいて引きずり抵抗を減らそうという工夫もあるが、まだまだ普及帯の車両に採用できるほどローコストな技術とはいえない。
また、トヨタ・プリウスや日産ノートのように後輪駆動用に独立した電気モーターを配することで、プロペラシャフトなどによるフリクションを減らそうというアプローチもある。
ちなみに、プリウスの燃費性能は、FFが37.2km/L、4WDは34.0km/L(いずれも同等グレードのJC08モード値)。プロペラシャフト・レスの電動4WDといっても8%強の違いとなっている。ここでも、FFに比べて70kg程度増えているという重量差が影響しているといえる。逆に言えばFFであっても不要な荷物を積むなどしていると、実際の燃費においては不利な要素となってしまうということだ。