日本一小さい県でも見どころ満載の香川県
讃岐国(さぬきの国)は、うどんで有名な香川県だ。「うどん県に改名」というのは、もちろん県の観光PRによるフィクション。
讃岐うどんは全国展開のチェーン店によって、どこでも味わえるようになった。しかし、香川県のうどん屋に一度飛び込めば、味以外の点でもカルチャーショックを受けるはず。そのPRがまんざらでないほど、うどんはグルメの域を超えた香川の個性を象徴する文化といえるのだ。
なにしろ讃岐うどん店は、香川県で700店舗あるといわれるからまさに県民のソウルフード。100円台から小腹を満たせる安さも魅力である。麺は歯ごたえやノド越しのよさが特徴だが、太さや硬さなど店それぞれの特徴がある。いりこベースのだし(つゆ)も同様だ。セルフサービスが主流で、麺も自分で茹でる完全セルフ式は、初体験だとちょっとドキドキするかも!? 薬味のネギ、ショウガ、天かすはお好みで。
さて、香川は四国4県だけでなく、全国の都道府県でもっとも面積が小さい。しかし、旧跡だけでも、全国の「こんぴらさん」の総本山である金刀比羅宮をはじめ、石垣が日本一高い丸亀城、巨大な銭形砂絵など見どころが満載。
その「さぬきこんぴらさん」は、県西部の象頭山(ぞうずさん)中腹に鎮座する。海の神をはじめ広範な神様として古来信仰を集め、江戸時代には伊勢神宮に次ぐ庶民の憧れだったといわれる。参道の長い石段でも知られ、本宮までは785段、奥社まで登ると1368段。さあ、どこまで登れるか!? 参道は土産店でにぎわう。
ほかにも、大名庭園で日本最大級の栗林公園、四国最北端の竹居観音岬など、名勝も数多い。お遍路の88番札所は、さぬき市の大窪寺。
そして、瀬戸内海には小豆島や直島など、宝石のような島々が浮かぶ。
小豆島に渡ったなら、瀬戸内海を見渡す小豆島南部ののどかな場所にある二十四の瞳映画村を訪れてほしい。約1万㎡の敷地に再現された大正・昭和初期の村は、田中裕子主演の映画に使われたロケ用オープンセットを改築したものだ。
また、映画館「松竹座」では「二十四の瞳」を常時上映。原作者の調度品や生原稿などを展示した壺井栄文学館も併設している。「キネマの庵」ではアルマイトの食器が懐かしい給食セットが楽しめる。
さらに、小豆島オリーブ公園も見どころだ。明治時代に日本で初めて栽培が始まったオリーブ発祥の地に隣接。敷地内に入れば、そこは“日本の地中海”そのものだ。瀬戸内海を見下ろす小高い丘に広がる約2000本のオリーブ畑。
オリーブの路は石畳の散策スポットとなっている。風車やコミロス(搾油所)などの建物もギリシャを彷彿させる。オリーブのことがすべてわかる情報ギャラリー、ショップ、グルメ、ロッジなど施設は充実。週末にはオリーブやハーブを使ったクラフト体験も可能。
香川県はやはり讃岐うどんのように、一見シンプルでもさまざまな魅力がギュッと凝縮されているのだ。