四国へのドライブ旅は上陸する前から楽しい
本州の遠方から四国に入るには空路が早くてラクだが、旅情を満喫するなら、道すがらいろいろな発見がある陸路、それも自分でハンドルを握るクルマ旅が面白い。
感動は瀬戸内海を渡るときから始まる。アクセスするルートは3つだ。まずは東日本や関西からのアクセスに便利な、本州から四国に渡る東側ルートの神戸淡路鳴門自動車道。兵庫県の神戸市と淡路島を結ぶ明石海峡大橋は、中央支間長(塔と塔の距離)が1991mと世界一長い吊橋だ。主塔の高さは海上約300mで、東京タワーに匹敵する。淡路島を縦断して徳島県に渡るのは、鳴門海峡にかかる大鳴門橋だ。
2つめは、中央ルートである瀬戸中央自動車道。岡山県倉敷市-香川県坂出市間の通称・瀬戸大橋は、1988年に本州と四国を初めて結び、今年30周年だ。途中渡る橋は計6つ。下津井瀬戸大橋の鷲羽山トンネルは、上段を道路、下段を鉄道が通る世界初の四つ目トンネルとして完成。与島橋は道路・鉄道併用のトラス橋として世界最大級を誇る。
さらにもうひとつ、瀬戸内しまなみ海道の愛称で知られる西ルートは、広島県尾道市と愛媛県今治市を結んでいる。計7つの橋で構成され、大三島橋は海峡部で唯一のアーチ橋であるとともに、本四連絡橋で最初に完成した橋。吊橋では因島大橋がもっとも古く、完成当時は日本最長を誇った。来島海峡大橋は世界初の3連吊橋である。
初めて走る本四連絡橋は、まるで空を飛んでいるように爽快。途中のPAや道の駅から橋を見上げれば、その巨大構造物は圧倒的なスケールで迫り、造り上げた人間の凄さを改めて実感できる。
また、曲線美の吊橋、直線美の斜張橋、さらにトラス橋やアーチ橋と、橋は構造によって異なる表情を楽しませる。そして海を超えると、四国へやってきたことを実感するのだ。
さて、待っているのはその名のとおり、4つの国。阿波、土佐、伊予、讃岐の旧国名は今もグルメや地名、芸能などにみることができる。四国は日本の主要4島でもっとも小さいが、4県はそれぞれが伝統に根ざした独自の存在感を放っている。
また、北は瀬戸内海、南は太平洋というふたつの海。陸は中央を四国山地が貫き、それを境に温暖少雨の瀬戸内海式気候と、さらに暖かいが、台風も多い太平洋側気候に分かれる。風土も個性的な文化を作り上げた重要な要素だ。
山川にも自然の現風景が残る花鳥風月、太古から近代に至る歴史ロマンにも、ほかの地域にない魅力が光る。さあ、四国の魅力を発見しよう。