ルーフが耐えられる重さと安全に走れる積載重量は同じではない
先日、フルモデルチェンジを果たしたスバル・フォレスターは、一部グレードのルーフレールにロープホールを設けたり、後席のサイドステップ部分を広めにしてルーフへアクセスしやすくするといった工夫がなされていたりする。アウトドア派ユーザーにとっては当たり前だろう、ルーフ上のスペースは荷物を積むのに活用すべきエリアだ。
SUVが増えていくにしたがい、そうした利用法にもさまざまなアイディアが生まれている。1980年代はスキーキャリアくらいしか普及していなかったが、サーフボード、自転車などを載せているクルマを見かけることは珍しくない。
また、ルーフラックやルーフボックスを装備することで、積載能力を高めているケースも見受けられる。さらに、アフターパーツの中には簡単に宿泊できる折り畳み式テントも用意されているほどだ。ルーフ上のスペースが持つ可能性は無限大といえる。
さて、クルマのアクセサリーカタログなどを見るとわかることだが、ルーフレールの最大積載重量についての注意書きが記されている。その重量は、クルマによって異なるが30~50kgの範囲に収まることが多い。ベースキャリアやアタッチメント込みでの最大積載荷重となるため、実際には25~45kg程度の荷物しか載せられないことになる。
しかし、前述した折り畳み式テントを使用する際には大人2名程度が就寝できるわけだから少なくとも100kg以上の荷重がかかっていても大丈夫なはずだが……。
ここでポイントとなるのは、走行安全性という視点。たしかに今のボディは強く、しっかりと骨組みの入っている部分で重さを支える分には30~50kg程度が上限とはならないが、なんらかの積み荷をルーフ上に載せた状態で走行することを考えると、重くなるほどに重心が高くなり、横転の危険性が高まってしまうことは自明。
ルーフレールを利用して、荷物を積むことでレジャーの可能性が広がるのはいいことだが、構造として支えることのできる荷重と、安全に走ることのできる積載重量が異なることは、しっかりと意識すべきだろう。