従来のカローラ像を変えるデザインを! トヨタ新型カローラ スポーツのデザイナーにインタビュー (2/2ページ)

間と密のコントラストで、新たな世界観を創出

 インテリアのデザイン開発も、エクステリア同様、数々のチャレンジが行われた。デザインキーワードは「センシャスミニマリズム」。歴代のカローラが備えていたすっきりとした上質感に、ひとつ上のクラスの憧れ価値を加えた、シンプルでありながら大人っぽく感性に響く空間づくりを目指した。

 とりわけ注力したのは、開放感や質感の高さ。そのための表現として、インパネのアッパーをなるべく薄くして横方向の広がりをつけ、加えて、コンソールまわりを高くワイドにすることで、ひとつ上のプレミアムコンパクト的な価値を感じさせるデザインとしている。インテリアデザイン担当の沼本 伸さんにより具体的に聞いてみた。

「お互いを引き立てあう上質な『間』と緻密な『密』のコントラストで、新しい世界観を出したいと考えました。『間』は柔らかな素材を使った広く大らかな高い質感が感じられる部分です。対して『密』は機能部位をぎゅっと凝縮した見応えのある緻密な部分です。『密』の部分では、シルバー加飾の断面の構成について三次元的なレイアー処理を施した奥行のある立体的な表現を心がけ、それをコンソールまわりやセンターまわりなどで統一感を持たせ、『間』と『密』の対比によってさらなる上質感を狙いました。また、新型カローラ独自の上質感を追求するため、今回はシボも新開発しました。インパネのアッパーはしっとりとして、フラットな感じの風合いのいいシボを。そして、それ以外の部分では、粒が少し大きめで質感の高いシボを選んでいます」

 こうして作りあげられた内外装をさらに引き立てるのがカラーデザイン。その担当を務めた伊与部圭史さんは次のように振り返る。

「カローラ スポーツのために、『オキサイドブロンズメタリック』と『スカーレットメタリック』の2色を新規開発しています。全体の狙いはスポーティかつプレミアムというところですが、そのなかでも『オキサイドブロンズメタリック』はもっともプレミアムな方向のカラーです。影のなかにスモーキーさを感じる表現と、少しグリーン寄りに振ることで、定番となるブロンズ系カラーのなかでもカローラ スポーツならではの個性を訴求しています。『スカーレットメタリック』は、スポーティ感をしっかりと表現するために、色味を通常の赤よりも黄味に振っています。中塗りに色を付けて鮮やかさを表現するというスペシャルな工程を経て作るカラーなんです」

 幾多のチャレンジの末に作り上げられたカローラ スポーツのデザイン。若者のクルマ離れが話題となっている昨今だが、宇角さんは『このカローラ スポーツが若い人たちにとってクルマの楽しさの扉を開けてくれるモデルとなってくれれば』と願いながらデザインしたという。

 より多くの人にクルマの楽しさを知ってもらうこと。カローラ スポーツのデザインには、そんなカローラらしい大きな意義も込められていると言えそうだ。


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