【試乗】腕が上がったと錯覚する走り! 新型VWポロGTIは速いけど超優等生

高速直進もコーナリングも圧倒的な安定感を発揮

 GTIのロゴと赤いピンストライプ、タータンチェック柄シートなど、VWのGTIならではの個性に囲まれるとただそれだけでウキウキする。「山椒は小粒でピリリと辛い」、そんなコンパクトホットハッチが大好物だから。

ポロGTI

 アクセルひと踏み豪快な4気筒サウンドと変速時の燃焼室からの響きと、弾き出された瞬発力と瞬時のギヤチェンジに、ドライブしながらニンマリする。コンパクト……と言うには語弊があるポロGTIのスリーサイズ(全長×全幅×全高)は4075×1750×1440mmで、兄貴分ゴルフの第4世代にほぼ近い。現行ゴルフが7代目なので古い話だが、ポロとしても第6世代にしてそのサイズ拡大は、ドイツ人の平均サイズが成長し続けていることも関係する。
ポロGTI

 室内はコンパクトな割に幅広な印象だが、ドライバーにとってのコクピットは適度にタイトな感覚が操縦のしやすさにつながる。

 走り始めた第一印象は、オーバークオリティ感ありあり。このボディサイズに“大排気量”の2リッターターボを搭載(4世代ゴルフGTIは1.8リッター)して、200馬力/320N・mを6速DSGで引き出す。1290kgの車体を0-100km/hまで6.7秒、最高速を235km/hまで伸ばす豪快な加速Gは、ショートサーキットでその片鱗を味わう。
ポロGTI

 標準モデルより車高で10mmローダウンした姿勢は、17インチタイヤがホイールハウスいっぱいに詰まって、見た目の迫力も十分。走行モードのスイッチにより、ステアリング、エンジンマップと、サスはダンパーの減衰力がノーマル/スポーツに可変できる。
ポロGTI

 一般公道でも感じられるそのダンパーの変化は、乗り味がコツコツと凹凸をいなす快適なノーマルモードと、スポーツモードは明らかにサスストロークを規制して硬いが、角ばっていない滑らかさをもつ。硬さは直接ボディや乗員には伝えない上質感のあるドイツ流儀。
ポロGTI

 高速直進性は、わだちや横風の影響をほぼ感じさせない直進安定性を発揮する。

 サーキットのコーナリング特性は、狙いどおり曲がり、リヤタイヤも路面を捉えて離さないから、コーナー進入から脱出まで、終始VWらしい破綻しない安定性を披露。基本ニュートラル特性で、アクセルを踏み過ぎるとアンダーステアに変化する。ただし空転する内輪にブレーキ制御を行うデフロック機能、XDSが舵角に応じたコーナリングラインに収束させる、つまりはアンダーステアを相殺するのだ。その制御がじつに緻密でズレがない。結果、自身のドライビングスキルが高い!! と錯覚するドライバーは増殖するだろう。

ポロGTI

 ドライの路面状況では、車輌安定装置ESCをOFFにして、ステアリングを大きく切り込み、旋回途中でアクセルOFFして急激な挙動変化を起こそうとしても起らない。リヤの接地安定性の高さは驚くべきで、さすがアウトバーン200km/hオーバークラスの安定性である。

 正統派のGTI……まとまりが良すぎて、個性や面白みに欠ける!? とも言えるが、VWを選ぶということは、そこも必須条件である。

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