走りを極めるために徹底的な軽量化を実施
次にクルマ全体を紹介したい。わずか1110kgという車両重量はトヨタ86GRよりも130kgも軽量だ。プルミエール・エディションには特別装備の23kgが含まれているというが、その装備がなければ1087kg。ここまで軽量化できた理由は、ボディやシャシーにアルミニウムを採用しているからだ。ちなみにクルマ全体の96%がアルミで、残りの4%は接着剤やリベットとなる。
さらに世界初となる電子パーキングブレーキを組み合わせたアクチュエーター内蔵のブレンボ製リヤキャリパーを採用したことで、一般的なノーマルキャリパーより2.5kgの軽量化を可能とした。
A110のミッドシップに搭載されるエンジンは1.8リッター直列4気筒ターボ。その最高出力は252馬力/6000rpm、最大トルクは320N・m/2000rpmを発生する。上記でも触れたとおり、車重が1100kgと軽量なため、パワーウエイトレシオは4.4kg/馬力。これは、現行シビック タイプRや日産フェアレディZに近い数値だ。トランスミッションはゲトラグ製7速DCTを組み合わせている。
サスペンションは前後ダブルウイッシュボーンを採用し、クルマを走らせるうえで最も重要な前後重量バランスはフロント44:リア56となっている。なるべく中央に重心を持ってくることで、クルマとの一体感を感じられる。アルピーヌのコマーシャルダイレクターのレジス・フリコテさん曰く「初代を乗ったことがある方はおわかりかもしれませんが、A110はウデで運転するのではなく腰を使ってドライビングをするクルマになっています」と話す。
生産工場はかつてのアルピーヌの生産拠点であった、フランス・ディエップで製造される。1969年に建設されたディエップ工場はその後、ルノー・スポールモデルやルーテシアV6といったモデルのほかに、少量生産モデルを送り出してきた。現在はカスタマー向けレーシングカーの組み立てのほか、新型ルノー・メガーヌR.S.を生産している。