急の付く動作と暖気ゼロでの走行は寿命を縮める
同じクルマでも、乗る人によって、へたりが目立ったり、逆にいつまでも新車の輝きを維持していたり、その差はどこから来るのだろうか。要はへたりを加速させ、寿命を縮める行為について考えてみよう。
そのヒントになるのが、旧車に乗っている年配の方たちで、なかでもワンオーナーでずっと同じクルマに乗っているという例は大いに参考になる。
今までの取材で何度もエンジンはオーバーホールせず、ボディも全塗装なしで、いい歳のとり方をしたクルマたちを何台か見て、オーナーに話しを聞いてきた。共通しているのは、まずは急が付く操作はしないということ。
急ブレーキ、急加速、急ハンドルはやはりクルマへの負担は大きく、最終的に同じ負荷をかけるにしてもゆっくりとかけるのがポイントだ。
ただし、急が付く操作を避けているだけではない点に注目で、スピードは出すときは出すし、エンジンも回すときは回すというのも共通している。
エンジンを上まで回すという行為は、一見するとクルマを痛めてしまう気がするが、ある程度の負荷はクルマにとって必要で、人間もある程度のストレスと運動が長生きの秘訣というのと同じ。過保護にしていれはいいというものでもない。
そして走りそのものにも寿命を延ばすポイントがある。まずいきなり走り出さないということ。現在のクルマは暖機は必要ないと言われるが、オイルが回るまでひと呼吸置いてから走り出して、水温計が動き出すまでは抑え気味に走ったほうがいい。
機械である以上は今のクルマでも暖機は必要というのは事実で、やらなくても、一般的に廃車になる十数年なら大きな問題が出ないというだけで調子を落とすことに繋がる。軽くでもいいので、準備運動としてやったほうが調子は持続する。
また、消耗品の交換は定期的に行ったほうがいい。現在のクルマは消耗品はかなり減っていて、メンテナンスフリー化が進むが、それでもまだ残っている部分の重要性というのは増しているというも言える。オイル交換など、定期的なメンテナンスは必須だ。
そのほか塗装を守るためには、ワックスやコーティングがけは大切。最近の塗装は質が上がり輝きは長く続くが、塗装が樹脂であることに変わりはないというのも事実。
長い目で見ると、ワックスをかけるかけないでの差は大きいというのは、板金塗装のプロへの取材で痛感している点だ。ボディケアを怠ったクルマの塗装はへたりが早い。