適正な保管方法で3年以内ならフレッシュタイヤと性能に差はない
タイヤはナマモノ。鮮度の高いタイヤほど、ゴムも柔軟でパフォーマンスも高いが、製造されてから月日が経つにつれ、ゴムは硬化し性能は低下していく……。ただし、タイヤのゴムに化学変化を起こし、性能を劣化させていく最大の要因は、走行時にゴムがたわむことによって生じる「熱」であり、この熱の入っていないタイヤ=未使用のタイヤは、製造から3年以内なら経年劣化の影響はほとんどないことがわかっている。
たとえばブリヂストンでは、「保管期間とWET制動距離の関係」を実際にテストしたうえで「適正に保管された乗用車用夏タイヤは、3年間は同等の性能を保つことが確認された」と公表している。
一方、ブリヂストン、横浜ゴム、ダンロップ、日本グッドイヤーの各社とも、使用開始から5年以上経過したタイヤは、専門店で継続使用に適しているかどうか点検することを推奨しており、製造後10年経過したタイヤは、トレッドの残り溝の有無など外観上に問題がなくても、新品タイヤへの交換を勧めている。
というわけで、新品未使用の製造から3年以内で適切に保管されていたタイヤなら、フレッシュタイヤと性能差はないと考えても間違いはない。また大手タイヤメーカーは、製造から3年を経過したタイヤは未使用でも出荷しないことになっている。
これはユーザーがタイヤを購入してから、消費しきるまである程度の年数がかかり、その間も性能維持ができることを前提にしているからだという。ただし、高性能なハイグリップタイヤなどでは、メーカーからの公表はないが、細かい年次改良が行われている様子がうかがえる。
また、そもそもタイヤの製造は職人の手作業による工程も少なくない。そういう意味で、ロッド(製造週)によって多少の性能差が出るのは必然であり、同銘柄なら製造年週が違っても同性能かというと厳密にはそんなことはありえない。
しかし、そんなことを言っていると同銘柄のタイヤなんて作れなくなってしまうので、工業製品には公差が設けられている。その公差の範囲内でいえば、未使用でメーカーの管理倉庫で保管されていたタイヤなら今年のものでも、去年のものでも、おととしのものでも同じ品質、同じ性能と考えていいだろう。
【詳しくはこちら】
https://tire.bridgestone.co.jp/about/maintenance/keeping/index.html