単なるバッジ違いじゃない個性派兄弟車
現在はマークIIの後継であるマークXはかろうじて残っているが、マークII3兄弟と呼ばれた、チェイサーとクレスタは今やもうない。
1980年代から1990年代にかけて、トヨタは積極的に兄弟車政策を取り、販売チャンネルごとに微妙な差別化を図っていた。マークII3兄弟もその流れで誕生してきたのだが、単なるバッジ違いが多かった他の兄弟車とは一線を画した内容だった。
まず棲み分けとしては、クラウンの弟分として保守本流をいくのがマークII。クレスタはビスタ店向けとして登場したが、高級感を全面に出していた。そしてチェイサーはオート店向けというだけでなく、スカイラインといったスポーティセダン勢に対抗するために登場した経緯もあり、ターゲットは若者だった。
1977年に登場した初代は大きなグリルの両側に、四角いフレームの中に丸目のライトが入るという個性的なデザインで登場。
前出のように、若者をターゲットとしたことから、エンジンはマークIIにあった2.6リッターはなく、1.8リッターと2リッターのみで、当時は広く用意されていたディーゼルもチェイサーにはなかった。また、2ドアハードトップはチェイサーにのみ用意された。
その後、1980年には2代目へとスイッチ。スポーティなイメージの2ドアハードトップは廃止されたものの、足まわりが固められるなどしたアバンテが加わっている。
ただし、1984年登場の3代目になると、マークIIとクレスタ同様に高級感が重視され、3兄弟の差は小さくなってしまった。その後、6代目が2001年で姿を消して、終止符が打たれてしまった。
ただ、スポーティという点で忘れてはならないのが、GT系から進化したいわゆるツアラー系の存在だ。なかでも最上位となるツアラーVは280馬力を発生する直6の1JZ-GTEを搭載して気持ちのいい吹けが楽しめたし、なによりも5速MTが用意されていたのも人気に拍車をかけた。
マークIIにもツアラーはあったが、車名の響きもあってか、チェイサーのほうが若干ではあるが人気は高かった。ちなみにクレスタの場合はルラーンと呼ばれ、他の2台ほどは人気はなかった。