シーンによってはハイブリッドよりもガソリン車が燃費で勝る
直近の人気車種を見ると、軽自動車とコンパクトカー、ミニバン、SUVの4ジャンルに集中している。なかでもクルマ好き比率高いのはSUVだったりする。そんな中、売れ筋SUVド真ん中の新型フォレスターがモデルチェンジした。次期購入車候補として気になっている人も多いんじゃなかろうか。
実際、年初のニューヨークショーでデビューした時の反響は大きかった。ネットで記事上げると明確にアクセス伸びたほど。しかし。ここにきて少し関心が薄まった雰囲気。理由を探ってみたら、どうやら2つありそう。皆さんの印象と同じく、デザイン&エンジンバリエーションです。
まずデザインから。説明するまでもなく、先代と似ており新しさを感じさせない。確かに相当のフォレスター好きじゃない限り、先代と新型を見分けられないと思う。試乗会は新型4台の中に従来型2台を挟んでいるのだけれど、並んでいてもジックリ見ないと解らないほど。
エンジンも今までフォレスターの“華”になっていたターボがなくなってしまった。聞けば従来型の場合、30%くらいターボだったそうな。「SUVながらスポーツカー」という小さいポルシェ・カイエンのような(元祖はフォレスターです!)魅力を失ってしまった。同時に6速MTも消えている。残念!
そんなことを考えながら試乗といきましょう。デザインだけれど、なるほど従来型と似ている。ただボディ全体のフォルムを見ると、けっこう違う。フロントグリルという一番のアイコンが似ているだけ。個性的なメガネ掛けると、顔のイメージが薄くなってしまうのと似てます。
おそらく長く見ていると新型の持ち味がジワジワ出てくるんだと思う。「飽きないデザイン」と言い換えてもよい。このタイプのデザイン、売れれば成功だと評価される。海外では「いいね!」。ただ日本のユーザーって新鮮さを好む。根っからの刺身好き気質です。伸び悩んだらグリルだけ変えたらいい。
パワーユニットやいかに? 新たにラインアップされた184馬力/250N・mの2500cc(自然吸気)から試してみる。Dレンジをセレクトしてアクセル全開加速すると「必要にして十分な動力性能ですね!」。従来型ターボと比べたらまったく物足りないけれど、同じセグメントのライバル相手なら問題なし。
むしろ日本の道路環境だとアクセル開けた直後のトルク感でターボより優勢。華やかさこそなくなったが、燃費を含めた実用性を考えれば納得出来る。参考までに書いておくと、ストップ&ゴーの少ない流れの良い道路環境だと、ハイブリッドより実用燃費良いと言うから興味深い。
走り出すと車体の良さがハッキリわかる。従来型も決して悪くない。というか、モデル末期になっても競合車と比べたら良く仕上がっていると思えるほど。ところが新型のハンドル握ったら、飛び抜けて良いのだった。スバルの新世代プラットフォームの仕上がり、素晴らしい!
ボディ剛性はヨーロッパ車に匹敵するし、ハンドル切った時のクルマの挙動だってビシッと安定している。ブレーキのタッチなど従来型より圧倒的なカッチリ感を持つ。400馬力のエンジン積んだって受け止めてくれそう。日本車には珍しい「オーバークオリティ」な仕上がりだと思う。
ハイブリッドだとどうか? モーター出力が13.6馬力と小さいため、アクセル全開加速するとハイブリッド車だということはわからない。けれど街中を普通に走っている速度域でアクセル少し踏むと、明らかにレスポンス良い。街中で少しアクセル開けた時の出力って30馬力程度。
そいつに13.6馬力が間髪入れず上乗せされるのだから効果絶大だ。街中で乗る機会の多い使い方だったら、燃費でもドライバビリティでも快適性でも(アイドルストップ状態からのエンジン始動が滑らか)、ハイブリッド優勢。価格はほぼ同じなので使い方によって選べば良い。
今回オフロードでの試乗メニューも用意されていた。乗用車と同等の快適性や乗り心地を持つSUVとしては従来型フォレスターも世界TOPクラスだったけれど、新型フォレスターだって勝るとも劣らず。とくに220mmというクロカン4WDに匹敵する最低地上高を確保しているのが効いている。
荒れた林道や、河原、はたまた乗用車派生型SUVがもっとも苦手とする新雪(とくに駐車場から道路に出るまで)で220mmの最低地上高は強力な武器になります。1〜2輪が宙に浮いたり、滑った時に威力を発揮する『Xモード』も一段と性能アップ。フォレスターの魅力をキッチリ引き継いでいた。