この記事をまとめると
■いま軽自動車で圧倒的に売れているジャンルはハイトワゴン
■その割合は軽自動車全体の約40%にものぼる
■そんなバカ売れジャンルでも苦戦するクルマ3台とその理由を紹介する
もちろんクルマそのものに理由があるがそれだけじゃない
軽自動車はクルマ界の「小宇宙」だ。ミニバンからSUV、スポーツカーまで、小型/普通車に用意される大半のカテゴリーがそろう。軽トラックをベースにした特装車では、ダンプトラックや保冷車も選べる。これらの軽自動車の中で、とくに人気を高めているのが、全高が1600mmを超える背の高い車種だ。大人4名が快適に乗車できる室内空間を備え、後席を畳むと自転車なども積み込める。
この背の高い軽自動車は、全高に応じて2種類に分類される。スズキ ワゴンRやダイハツムーヴを始めとする全高が1600〜1700mmのワゴンタイプと、ホンダN-BOXやダイハツタントのような1700mmを超えるハイトワゴンタイプだ。
軽乗用車市場全体に占める販売比率は、ワゴンタイプが34%、ハイトワゴンタイプが41%になる。両方を合計した全高が1600mm以上の車種は、軽乗用車全体の75%を占める。2017年度(2017年4月から2018年3月)の軽自動車市場における販売ランキングは、1位がホンダN-BOX(月販平均:1万8621台/先代型やN-BOXスラッシュを含む)、2位はダイハツ ムーヴ(月販平均:1万2137台/ムーヴ キャンバスを含む)、3位は日産デイズ+デイズルークス(月販平均:1万1375台)になる。
日産の場合、デイズとデイズルークスが合計されて順位が繰り上がる面はあるが、いずれにしてもワゴンとハイトワゴンタイプが上位に入る。それなのに、例外的に売れ行きを伸ばせない車種もあるから、販売不振の理由などを考えてみたい。ただし純粋なOEM車は、販売台数が少ないのは当然だから除外する。
1)ダイハツ ウェイク
前輪駆動をベースにした軽乗用車ではもっとも背が高く、全高は1800mmを上まわる。タントと比べても85mm高く、車内の広さは軽乗用車のナンバーワンだ。しかし、それでも売れ行きが伸びず、2017年度の月販平均は2368台にとどまった。同時期のタントが月販平均で1万1122台だから、ウェイクは21%になる。
ウェイクが売れない理由の筆頭は、価格が高いことだ。NAエンジンのL・SA3でも155万5200円で、タントX・SA3の142万200円を上まわる。しかもウェイクはタントに比べてボディが約70kg重く、L・SA3が1000kgに達する。こうなると市街地の登坂路でもパワー不足を感じるから、GターボSA3が推奨され、価格は167万4000円だ。
外観は相応に個性的だが、タントカスタムのような精悍(あるいはコワモテ)のエアロ仕様は用意されず、グレード展開も売れ筋路線からはずれている。そしてタントに比べると頭上の空間は広いが、前後席の足もと空間はあまり変わらず、多くのユーザーが「価格の割安なタントで十分」と感じる。
また、タントは左側のセンターピラー(柱)をドアに埋め込んで、前後ともに開くとワイドな開口幅が得られるが、ウェイクにはこの機能が備わらない。ウェイクはマイナス要因が数多く散見される。