スポーティさを意識した挑戦的なモデル
2018年4月に、アメリカのニューヨークオートショーで登場したカローラ ハッチバック。日本導入も伝えられていた同車が「カローラ スポーツ」の名前でついに日本でデビューした。それでは詳細を紹介しよう。
新型トヨタ カローラ スポーツの外観(エクステリア)デザイン
まずはエクステリアだ。「カローラ スポーツ」と名乗るだけあり、スポーティなデザインにこだわったという同車。まずTNGA(トヨタ ニュー グローバル アーキテクチャー)によるプラットフォームを採用し、低重心かつ幅広な見た目を再現。トレッドを拡大してタイヤを外側へ張り出すなど、いわゆるロー&ワイドなスタイリングだ。
これに寄与しているのが、低く抑えられたボンネットフードと、アッパーグリルのラインから連続するヘッドライトデザイン。サイドやリヤもスポーティさを強調した、ダイナミックで躍動感溢れる造形となっている。
フロントグリルに取り付けられる、車名の頭文字である「C」と3つの花冠をモチーフにした日本のカローラ専用エンブレムも一新した。
新型トヨタ カローラ スポーツの内装(インテリア)デザイン
続いてはインテリアだ。こちらもTNGAプラットフォームの恩恵を受け、インストゥルメントパネルの厚みを押さえて横に広がり感のあるワイドなデザインを実現。シルバー加飾とブラックパネルによって開放的かつ精悍な印象を見せている。
メーターは今どきの主流である液晶パネルを中央に据えたもの。このマルチインフォメーションディスプレイは7インチもの大きさをもつTFTで、視認性にも優れている。搭載グレードはHIBRID G“Z”とG“Z”の2グレードで、標準装備だ。
新型トヨタ カローラ スポーツのパワートレイン
そんなスポーティさを前面に打ち出したカローラ スポーツが搭載するパワートレインは、トヨタお得意のハイブリッド、THSⅡと、ターボエンジンの2種類となる。
まずはハイブリッドから紹介しよう。エンジンは1.8リッター(2ZR-FXE)で、単体で最高出力98馬力/5200rpm、最大トルク142N・m/3600rpmを発生。これに最高出力163馬力、最大トルク163N・mというスペックのモーターを組み合わせる。これを合わせたシステム最高出力は122馬力だ。トヨタ車に詳しい方やオーナーはわかると思うが、これはいわゆる現行の4代目プリウスと同じユニットとなる。
続いてターボエンジンは、1.2リッターの8NR-FTS型。最高出力は116馬力/5200-5600rpm、最大トルクは185N・m/1500-4000rpmというスペックだ。もちろん直噴ターボで、1500rpmという極低回転域から最大トルクを発生するため、加速に優れたユニットといえそうだ。
これらのパワーユニットに組み合わされるトランスミッションだが、ハイブリッドに関してはプリウスと同じ、電気式無段変速となる。
一方で1.2リッターのガソリンターボエンジンは、CVTが採用される。このCVTは、10段のマニュアルギヤチェンジが可能な、10速スポーツシーケンシャルシフトマチックを備えたもの。CVTというとダイレクト感のないオートマティックトランスミッションというイメージもあるが、この10段シフトにより、スポーティな走りにも対応できる。
新型トヨタ カローラ スポーツのボディ
続いてボディ。ボディで重要なのは剛性だ。カローラ スポーツではボディの開口部に環状骨格構造を用いることで、高いボディ剛性を実現。走りの質感を高めると共に、操縦安定性の高さも実現している。
新型トヨタ カローラ スポーツのサスペンション
走りに重要なサスペンションまわりにもこだわりは詰まっている。フロントはストラット式、そしてリヤは、Cセグメントハッチバックではトーションビーム採用車も多い中で、ダブルウイッシュボーン式を使用。
ショックアブソーバー(ダンパー)は、600パターンにも及ぶオイルや構成パーツの組み合わせを試し、そのなかから操舵応答性と質の高い乗り心地を高次元で両立できるものを採用したという。
また、HIBRID G“Z”とG“Z”の2グレードには、リニアソレノイド式AVS(アダプティブ バリアブル サスペンション システム)をトヨタブランドのFF車として初めてオプション設定している。このダンパーは、路面の状況や走行状況に応じて瞬間的に4輪独立でダンパーの減衰力が切り替わり、シーンに合わせた最適な走りをもたらすものだ。
新型トヨタ カローラ スポーツのドライブモード
ドライブモードも用意される。シフトレバー前方に用意されるスイッチを操作することで、Sport S+、Sport S、Normal、Comfort、Ecoといったモードの切り替えが可能。その時々の走行シーンに合わせて選択することで、運転の楽しさや快適さを向上させることができる。
新型トヨタ カローラ スポーツの安全装備
今どきのクルマで最重要視される、安全装備についても触れておきたい。カローラ スポーツでは第2世代の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense(トヨタ セーフティ センス」を全グレードに標準装備した。このパッケージに含まれるのは以下の装備となる。
○歩行者検知(昼間・夜間)・自転車運転者検知(昼間)を行い、衝突回避支援または被害軽減を図る「プリクラッシュセーフティ」
○前方車両の追従走行を支援する「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」
○レーダークルーズコントロール使用時に、同一車線内中央を走行できるよう操舵を支援する「レーントレーシングアシスト(LTA)」
○ハイビームとロービームを自動で切り替える「オートマチックハイビーム(AHB)」
○カメラで認識した道路標識をディスプレイに表示することで道路標識の見落としを減らし、安全運転を促す「ロードサインアシスト(RSA)」
さらに事故の起きる可能性の多い駐車シーンでも、パーキングサポートブレーキによってドライバーをアシストする。これは障害物との間隔を検知して衝突の危険があるときに自動でブレーキをかけるインテリジェントクリアランスソナー。さらに頭から駐車し、バックで駐車スペースから出るときに後方左右からくるクルマを検知して自動でブレーキをかけるリヤクロストラフィックオートブレーキを含んでいる。
新型トヨタ カローラ スポーツのコネクティッドカー機能
そしてカローラ スポーツで大きなトピックスのひとつが、同日発売の新型トヨタ クラウンと同様に「コネクティッドカー」であることだ。トヨタはこれを「初代コネクティッドカーとして“新世代ベーシック”カローラ誕生」としている。
具体的には、車載通信機のDCMを全車に搭載することでT-Connectサービスが利用でき、遠隔により走行アドバイスや車両診断を受けることが可能。その主なサービスは以下のとおりだ。
◆安心・安全
○eケア走行アドバイス:警告灯点灯時、車両から発信される情報をもとにコールセンター(または販売店)から適切なアドバイスを受けることが可能
○eケアヘルスチェックレポート:エンジンオイル量、電子キーのバッテリー、警告灯点灯状態等についてスマートフォンなどで確認可能。また車両からの情報をもとに、販売店から最適なメンテナンスのアドバイスを受けることも可能
○コネクティッドメンテナンスパック:定期点検に加え、車両情報(走行距離)を活用し、最適なタイミングでメンテナンスを受けることができるパック
○MY TOYOTA for T-Connect ドラブ診断:ドライバーの運転傾向をもとに、「エコな運転」の観点から自動診断し、採点とアドバイスをスマートフォンに配信
○MY TOYOTA for T-Connect マイカーSecurity(リモート確認):ドアの開閉やハザードランプの点灯状態、オートアラームのON/OFFなどがスマートフォンで確認が可能
○ヘルプネット(エアバッグ連動タイプ):事故や急病時には、専任のオペレーターが警察や消防に取り次ぐほか、エアバッグ作動時には自動でオペレーターに接続。また、車両データをもとに重症度を推定してドクターヘリ等の早期出動判断を行うD-Call Netにも対応
◆快適・便利
○オペレーターサービス:専任のオペレーターが、ナビの目的地設定など、きめ細かくさまざまなリクエストに対応
○エージェント(音声対話サービス):音声対話で目的地の検索・設定、ニュースや天気などの情報検索が可能
○LINEマイカーアカウント:LINEのトークでナビの目的地登録が行えるほか、ガソリン残量や天気などのお出かけに便利な情報を得ることが可能
そしてトヨタが“新世代ベーシック”と名乗ったことは、この「コネクティッドカー」があらゆるクルマに広がっていくことを意味しているハズだ。一部の高級車、高額車だけではなく、トヨタユーザーの誰もがこうした便利さを享受できるようになるのだろう。
新型トヨタ カローラ スポーツの価格とグレード
カローラハッチバックのグレードと価格は以下のとおり
・HIBRID G”Z”:2,689,200円(FF)
・HIBRID G :2,527,200円(FF)
・HIBRID G”X”:2,419,200円(FF)
・G”Z” :2,419,200円(FF)
・G :2,257,200円(FF)
・G”X” :2,138,400円(FF)
・G”Z” :2,613,600円(4WD)
・G :2,451,600円(4WD)
・G”X” :2,332,800円(4WD)
販売店は全国のカローラ店で、月販目標は2300台とのことだ。
※写真はプロトタイプ