プロに頼んでもクルマの修理部分が従来のボディの色と違って見える理由とは

そもそも同じボディカラーのクルマでも生産時から微妙に異なる

 事故や凹み、キズ修理の仕上がりで、多いトラブルが色が合っていないというもの。街中を走っているクルマのサイドを見ると、ドアやフェンダーだけ色が違うことがあったりする。最近は塗装業界も人手不足で、熟練職人が減っていたり、純正ボディカラーの色味がとても複雑になっている。さらに塗装自体の層も増える傾向にあって、レクサスでは7層コートを採用していたりする。つまりとても直しにくいのだ。

 ただ、そもそもなぜ合わないのか? まず簡単に言ってしまうと、色あせしているから。最近の塗料は性能がよくなって耐候性なども上がっているが、それでも紫外線などの影響で色は次第に褪せてくる。さらに、意外かもしれないが、新車は自動車メーカーが塗るからといって、すべての色が同じというわけではないのだ。実際は工場によっても違うし、時期などでも異なる。

 それに対して、修理時はどうやって色を塗るのか? クルマに詳しい方なら、カラーはメーカー指定になっているというのはご存じだろう。ただ、それはそのまま塗料が製品として販売されているわけではなくて、実際の現場ではカラーコードに合わせた色の調合比率というのがあって、それを見て色を作る。たとえばすごく簡単に言ってしまうと、赤40パーセント/黒20パーセント/黄25パーセント/緑15パーセントというように指示に合わせて混ぜるといった感じだ。

 ただし、これでできるのは塗料メーカーが考えた公式なもの。実際のボディは説明したように、色が変わっていたりするので、最終的には現物合わせで修正していく。試し吹きをして合わせるのだが、蛍光灯と自然光ではまったく違ったりして、まずここでうまい下手が出る。仕上がりの色が違うというのは、この調色の失敗が一番の理由だ。

 さらに塗装が下手というのもある。ソリッドはそれほど難しくないが、メタリックなどの混ぜ物がしてあるものはスプレーガンの向きや吐出量によって、輝き具合が異なってきてしまう。たとえば、色が合っていない、シルバーメタリックのボディをよく見てみるとわかるのだが、補修したほうが黒っぽくなっていることが多い。これはメタリックの粒が光りを反射する向きに並んでいないからだ。

 理由はどうであれ、ユーザーとしては色が合っていないのは避けたいが、実際のところ、対処法はなし。プロに頼んだ場合は、納車時に角度を変えたりしてよくチェックして、違っていたらやり直してもらうしかない。また自分でタッチペンや缶スプレーで補修する場合は、合わないこと前提で、目立たなくなればいいやぐらいでやるしかない。とくにタッチペンではメタリックが均等に付くわけでもないからなおさらだ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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