横綱はトヨタと日産の2大FRスポーツ!
サーキット走行会のようなものが影も形もなく、マイカーでサーキットを走る機会がほとんどなかったふた昔前は、人里離れたワインディングをかっ飛ばすのが、“正統な”走り屋(暴走族とは違うという意味で)だと思い込んでいた時代だった。そんな峠の走り屋たちに人気だったクルマをピックアップ! 大相撲の番付を例えに紹介しよう。
・横綱
トヨタ・カローラ(AE86)/日産シルビア(S13)&180SX
峠の走り屋の人気ランキングでいえば、トヨタのAE86(レビン・トレノ)と、日産シルビア(S13)が両横綱。ともにFRでコンパクトな車体。 そこそこパワフルなエンジンで、LSD+ブレーキチューンだけでも十分楽しめたし、人気車種だったのでアフターパーツも非常に豊富。車体価格も安かったが、中古車のタマ数も多く、リーズナブルだったこともあり走り屋ビギナーから上級者まで愛されていた。
・大関
トヨタMR2(初代)/マツダRX-7(FC3S)
大関クラスは、トヨタMR2とマツダRX-7。MR2は何といってもミッドシップレイアウトが魅力だった。1.6リッタークラスで、スーパーチャージャー仕様もあったAW11は評価が高かったし、SW20も初期型はナーバスで恐ろしさもあったが、マイチェンごとに改良されジムカーナ等でも大活躍。RX-7もピュアスポーツの雄で、ロータリーターボと切れ味鋭いハンドリングで、ワンランク上のマシンだった。
・関脇
ホンダ シビック(グランド&ワンダー)/ホンダCR-X/トヨタ セリカXX ほか
関脇クラスは激戦区。FFスポーツのグランドシビック、ワンダーシビック・CR-Xが、1.6リッタークラス最速として頭角を現してくる。とくにVTECエンジンが登場してからは、ホンダファン以外からも一目置かれる存在に。車体も軽く、小気味のいいハンドリングも強みだった。
このシビック・CR-Xをはじめ、AE86といった車種は峠では何となく1.6リッタークラスが主役といった感じがあったが、排気量の大きなクルマでは、トヨタのセリカXX、70スープラなども好かれていた。日産では、DR30スカイラインやS30、S130、Z31などのフェアレディZも(Zはあまり峠向きではなかったが……)。
・小結
トヨタ スターレット(KP61&EP71)/マツダファミリア(BF)ほか
1.6Lクラスより一つ下の、1.3Lクラスでは、トヨタスターレットが独断場。FFになったEP71あたりが多かったが、FRだったKP61も生き残っていたし、EP82からはツインカムエンジンになり、ターボモデルも!
その他にも国産初のフルタイム4WD、マツダファミリア(BF型)なども、ターボ+4WDを生かしてラリーで大活躍し脚光を浴びる。ブルーバードSSS-R、ギャランVR-4、流面形のセリカGT-FOUR(ST165型)なども、同時代の4WDのラリーカーベースで懐かしい。