今年もパイクスピークならではの多種多様なマシンが集結
現地時間6月24日(日)に決勝日を迎える「第96回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)」のレースウイークがスタートした。パイクスピークは、アメリカ・コロラド州にある標高4301mの山で、その頂上のゴール地点まで誰が一番速く駆け上がることができるか、そのタイムを競うという単純明快な競技。標高2862mのスタート地点からのコースは全長20km、156ものコーナーがあり、平均勾配は7%を超える。ダートコースのイメージが強いが、2012年にコース全面が完全に舗装されている。レースそのものは1916年に第1回が行われ、1914年から続いているインディ500(インディアナポリス500マイルレース)に次ぐ長い歴史を持つ。
その初日となる18日(月)は車検日となっている。パイクスピークのふもとの町であるコロラドスプリングスの「ブロードモア・ワールド・アリーナ」の駐車場には、朝から参戦車両が集まり、恒例の公開車検を受けた。
今回、注目のフォルクスワーゲンの電気自動車「I.D. Rパイクスピーク」ももちろん車検会場に姿を見せた。しかしドライバーのロメイン・デュマ選手は、まだアメリカに到着していないということで残念ながら不在。車両の細かな部分について撮影はできたものの、車両重量などの計測については厳重警戒態勢で、オープンになることはなかった。
そして、リース・ミレン選手を起用しパイクスピークに初参戦するベントレー・ベンテイガも姿を現した。W12エンジンを搭載したこの車両はロールケージを組み込んでいるものの、それ以外は市販車のまま。カーボンブレーキとカーボンエアロキットを装着しているが、これもオプション設定されているもので、誰でもこの仕様が手にすることが可能だという。このボディカラーもRADIUMという色で、ラインアップされている(ただし、マットカラーではないが……)。
すでに「フライング・アボカド」とチーム内でニックネームが付いているらしい(メーターパネル内にはアボカドのステッカーが貼られている)。ちなみにボディサイドにはパイクスピークをイメージした山々のイラストが描かれている。
ステアリングを握るリースは、「今まで乗ったことがない、チャレンジのし甲斐があるクルマだ」とコメント。今回のチャレンジをそれなりに意義のあるものとして捉えている。事前に試走をしており、平均時速は想定よりも4マイル上回っており、11分3秒あたりになるだろうという。チームとしては、これまでレンジローバーが持っているレンジローバー・スポーツでのSUV最速記録(ポール・ダレンバック/12分35秒61/2013年)を上まわることがターゲットだが、この試走での結果から、個人的には10分台、ポルシェのカップカーよりも速く走りきることが目標だとリースは語ってくれた。
そして、今回日本から参戦の3選手、奴田原文雄選手(No. 230 2018年式 日産リーフ/Time Attack – Time Attack 1)、小林昭雄選手(No. 249 2000年式ポルシェ911 GT3/Time Attack – Time Attack 1)、井上哲悟選手(No.54 2018年式カワサキZ900RS/Pikes Peak Heavyweight)の3台のマシンも無事に車検を終了。19日(火)から、その舞台となるパイクスピーク・ハイウェイでの走行がスタートすることとなる。