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【試乗】減っても雨の日に止まる! ミシュランの新作タイヤ「プライマシー4」の圧倒的ウエット性能

【試乗】減っても雨の日に止まる! ミシュランの新作タイヤ「プライマシー4」の圧倒的ウエット性能

使用限界でもウエット路面でしっかりとしたグリップ感がある!

 2013年に登場し、高評価を集めるミシュランのタイヤ、プライマシー3。転がり抵抗だけでなくウエット性能の高さを持っていた良好タイヤが、まさに今日、2018年6月18日にプライマシー4にフルモデルチェンジして性能を進化させてきた。じつはその1週間ほど前にテストコースにて試乗ができたので、内容をリポートしよう。

 今回プライマシー4で重視したのは、ウエット性能。いまどきはクルマそのものに対しても、安全への市場要求が高い。それはタイヤに対しても同様で、ウエット時のブレーキ能力、さらにはタイヤが減った際のそれら性能の劣化を抑えることが要求される。

 ミシュランとしては、晴れの日の4倍にもなるという雨の日の事故低減にもつながるし、安心感を与えられるのでウエット性能を重要項目として強化したという。また走行音が静かなハイブリッドや電気自動車が増えてきたので、プレミアムコンフォートタイヤである最新プライマシーモデルとしては、当然静粛性対策も施してきた。

 走行した感覚としては、まずプライマシー3よりも静かであることに気がつく。技術説明ではブロックパターン上での横溝配置を見直したと言っていた。デシベル計測をしたらあまり変化はなさそうだが、体感的には音圧変化が少なかったので、とても静かになっている印象を受けた。とくに荷重を掛けてロードノイズが大きくなりそうな場面でも、その変化が少なくタイヤの音が“気にならない”感じ。この特性から、一般道の荒れたザラ目路面などでの静かさも向上していると予想できる。

 そして、総合的な印象としてはタイヤの粘り具合が向上してグリップ力が上がった印象を受けた。正確にはハンドリングに影響をする横方向からの入力を支える剛性感に変化は感じないのだが、直進時のうねり路面やブレーキを踏んだ際など、タイヤに縦方向から荷重が掛かったときのフィーリングがプライマシー3と違う。路面に接地するトレッド部とタイヤ全体の縦方向の柔軟性が富んだ印象があり、より粘っこくベトッと広い面積で路面を捉える感じ。当然そのような印象なので、ブレーキを踏んだら短く止まるのだが、いくつかのタイヤと比較走行をした限り、そのウエットストッピングパワーは驚異的なレベル。

 ちなみにタイヤ交換必須サインであるスリップサインが出る直前まで摩耗させたタイヤ同士でも、ブレーキのテストをしてみた。

 走りに詳しい方、タイヤに詳しい方なら、そのような磨耗したタイヤがどれだけ雨の日に止まらないかご存知だろう。多分それが一般的に知れ渡ったら、雨の日の磨耗タイヤなんて走れたものではないし、タイヤメーカーに文句をいう筋違いオーナーまで出てきそうだが、そんな状況でプライマシー4は驚異的な食いつきを見せた。

 写真でご覧いただくとわかるとおり大したことはない水量だが、さすがにプライマシー4でも時速80kmからブレーキを踏んだ瞬間、水膜にタイヤが乗ってしまい一瞬だけほとんど減速せず空走する。新品時の食いつきとは雲泥の違いだ。

 しかし、「あッ、ヤバイ!」と思う前には、水膜を打ち破りトレッド面がグイグイと路面に食い込むようにグリップ力が発生して新品時並みの減速率を発揮しながら止まる。さまざまなタイヤに触れてきたが、水膜をこんな早くに打ち破る能力は見事であり、安心できるし安全だ!

 若干、スタッドレスタイヤがアイス路面をいかに捉えるかの話に似てきた。と言うのも、氷の上の水膜を打ち破り、氷面にゴムをいかに接地させるかがスタッドレスタイヤのアイス路面でのグリップのキモ。そのために水膜を打ち破るブロック剛性も大事だし、路面の起伏を捕まえるゴムの柔軟性も大事だし、接地面積を稼ぐことも大事だしと、路面を捉えるスタッドレス×氷ならではロジックがあるが、このプライマシー4に触れると自然とそれを思い出した。どことなくやっていることが同じだからだ。

 ちなみに近年スタッドレスタイヤがアイス路面でグリップするようになったきっかけは、シリカというタイヤの温度をコントロールしやすくなる魔法の粉を存分にゴム内部に混ぜられるようになったから。

 聞くとこのプライマシー4は、それらスタッドレスタイヤよりもシリカ含有率が高い。これがあるおかげで、ウエットでもグリップ力(発熱)を効率よく発生させつつ、ドライ路面で発熱しすぎてゴムが壊れるのを防ぐ温度管理が理想的にできるようになった。

 マニアックついでに言うと、シリカはゴムと結びつきにくく混ざりにくいので、多量に入れたいが磨耗性や性能の安定化を踏まえて断念する。しかしミシュランは、それを強く結合して磨耗性も確保しながら、細かくまぶして大量に混ぜられる接着剤的な能力を発揮するポリマーか何かを実用化できたのだろう。そこがタイヤメーカーの“キモ”なので教えてくれないが、これができたということは、今後発売されるミシュランのサマータイヤもウインタータイヤも、さらに一段高いレベルでの性能を発揮できるようになるはず。

 そんな今後の楽しみも感じられたプライマシー4。当然ミシュランは相当な自信があるのだろう。購入して気に入らない場合は、タイヤ交換工賃を含めて全額返金保証するプログラムをこのタイヤに打ち出してきた。購入してからの期限は設けているが、サイズが合うならそれを使って試し履き感覚で購入してみるのも悪くないだろう。

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