ドライビングレッスン終了後、井原慶子さんにWomen in Motorsportの活動について詳しくお話を伺った。
──Women in Motorsportのイベントは、今回で何回目ですか?
「3回目です。1回目はイオンモール常滑のオープンイベントとして女性だけのカート大会を開催しました。そのときはFIA国際自動車連盟のWomen in Motorsportの議長であるミッシェル・ムートンさんも来日されました。2回目は昨年のL1レースです。女性向けのドライビングレッスンを同時開催しました。2014年まではライセンスホルダーが減る傾向でしたが、JAFがWomen in Motorsportの活動を始めてから毎年ライセンスホルダーが増えていて、それに伴いモータースポーツ参加者も増えています」
「ですが、そういった方々がさまざまな競技に出るようになると、女性は危ないと言われたり、まわりからの理解が得られず参加するのが嫌だと思ってしまう方もいらっしゃいます。そこで女性だからダメだと言われないのは女性だけのレースだと考えました。そしてWOMEN IN MOTORSPORT DAYとして、女性だけのレースやラリーを開催しながらライセンスを取得したり、クルマには興味があるがどうやって参加したらいいかわからないといった人たちに機会を作ろうといった試みが今回のイベントなのです」
──今まで延べ何名ぐらいの方が参加されたのですか?
「950名ぐらいです。18歳から68歳の方まで応募がありました」
──モータースポーツ経験者の方だけでなく、初心者の方もいましたか?
「半分以上が初心者で、これからライセンスを取ろうとしている方ですね」
──それでライセンスが取れるオートテストなども併催し、一緒に楽しくやりましょうということですね。
「そうですね。応募者の履歴書にはだいたい同じことか書いてあり、元々クルマには興味があったが、子育てが忙しかった、会社に反対された、家族に反対されたなど色々な事情があって挑戦できなかったというもの。Women in Motorsportであれば同じような方が集まるので、参加しやすいと思います。またライセンスはどのように取得すればいいかわからない、どういった装備品が必要なのかもわからないといった段階でも少しずつ始められるので、多くの方が参加してくださっています」
──参加された方はその後も自分でモータースポーツなどに参加していますか?
「はい、そういった方がすごく増えています。一度参加された方にはモータースポーツに関する情報をお知らせしています。Women in Motorsport Projectのメンバーは現在1期生〜4期生までいますが、全国に散らばっているので、メンバー同士で誘い合って各競技に参加したりしていますね。またレースだけでなくラリーのオフィシャル(公認審判員)、自動車メーカーやタイヤメーカーのエンジニア、自動車の研究所に就職した方などもいて、さまざまな職種で活躍しています」
「このWOMEN IN MOTORSPORT DAYの受講者でJAF公認競技、公認レースに出場して3位以内に入った方は約300人います。そういった方が増えてきたので、これからも初心者の方を含めた多くの方を応援していきたいです。1人のトップドライバーを育てるのではなく、グラスルーツの層をもっと厚くしていきたい。層を厚くすれば天才だって出てくると思うので、そういう人にはWEC、F1、WRCなどで活躍してほしいですね」