ハイブリッドなのに違和感のないブレーキに感動!
ニュルに持ち込んだのは2.5リッターHV仕様だということで、まずは2.5リッターHVに乗り込む。搭載されている2.5リッター直4 A25A-FXS型エンジンは、昨年登場した新型カムリに搭載されたものを縦置き搭載している。
グレードは走りを意識したRS(レーンシュポルトではないという)。タイヤはブリヂストンと共同開発した「レグノGR001」ブランドの225/45R18だが、サイドウォールの造形がかなりスポーティな見栄えとなっている。ニュルの試験車には、同じブリヂストンだがポテンザブランドが装着されており、ポテンザの走行性能をレグノにも授けた専用タイヤが装着されることになったと推測する。
コクピットに入ると2トーンカラーのインパネや内装などがスポーティかつゴージャスでセンターコンソールに上下2段で設置されたモニターパネルが目新しい。このパネルは最新のコネクティッドシステムにも役立たされ、大きく見やすい文字表示と相成って操作性が相当高い。
システムを起動し、センターコンソールのシフトレバーをDレンジに。オートマティック(AT)車のようなシフレバーは前後に操作するが、操作量が大きくセンターダッシュパネルが手前に突き出ているのでPレンジに入れる際に拳をぶつけてしまった。まだプロトタイプというものの、話を聞く限りデザインや位置関係はこのままということで若干不満を感じたのは確かだ。
HVのEV走行で走り始めるが、アクセルを踏み込むとすぐにエンジンが始動。そのまま全開加速を試みると、指示された時速100km/hにあっと言う間に到達。動力性能は3.5リッターガソリンエンジン並みにあるように感じる。HVモーターのトルク立ち上がり特性が優れて実用走行域ではキビキビと加減速でき扱いやすい。
コーナー手前で減速すると、ブレーキフィールが非常にいい事に驚かされた。HVゆえ減速Gは基本的にモーターの回生により引き起こされる。FRではモーターに繋がっているのは後輪だけだから後輪主体で減速させているというが、車両姿勢は安定し、減速Gの強度もブレーキペダル踏み込み力に極めてリニアに応答してくれている。
電子制御のVDIM(ビークル ダイナミクス インテグレーテッド マネージメント)が有用に作動しているのだろう。その作動精度が大幅に向上し、コーナーリング中の介入も極めてスムースで微小なコントロールで姿勢安定を保っていた。この細かな制御のキャリブレーションもニュル試験の成果と言えるだろう。
ハンドリングには大きな驚きがあった。ステアリングを切り込むと前輪が瞬時に応答し、ノーズを旋回させていく。速度の高い領域でもその特性は変わらずクイックなステアリングレスポンスを示し続ける。FRゆえ、急激なヨーレートの立ち上がりは車両姿勢を不安定にしそうだが、後輪の接地性も極めて高く、前後がバランスよく旋回姿勢に入っていくのだ。
タイトターンにオーバースピードで進入し、一気に転舵して前輪に過酷な入力をしても、VDIMの制御とシャシーバランス、そしてなによりサスペンション及びシャシー剛性の高さが4輪の接地性を有効に維持し、安定したままクリアできてしまう。一瞬前輪のスキール音が高まりタイヤサイドウォールが悲鳴をあげるが、本当に一瞬で収まってしまう。これほどの運動性能をクラウンに与えたことは驚きだが、それはまさにニュル試験の成果といえるだろう。