絶版になるほど販売不振ではないが人気でもない絶妙なポジション
自動車は定期的にフルモデルチェンジを行い刷新していくもの。日本車の場合はおおよそ5年〜7年程度で新型車へバトンタッチする場合が多い(輸入車の場合はもう少し長い場合もある)。そんななか、フルモデルチェンジもせずにひっそりと売られ続けているモデルも存在しているのだ。
あまりに売れなければすぐに消えてしまうし、大人気車種であれば新型の開発が進むわけであり、売れてないわけではないけれど、フルモデルチェンジをするほど売れているわけでもないという絶妙なポジションの車種をご紹介しよう。
1)日産キューブ
2008年11月に3代目として登場した現行キューブ。「マイルーム」というコンセプトを打ち出し、自宅のソファーにいるような空間を演出。車名のとおりスクエアな立方体フォルムと相まって人気車種となった。しかし、同時期に存在していたノートやティーダといった同クラスのコンパクトカーがフルモデルチェンジを行うなか、キューブは大きなマイナーチェンジすらないまま現在に至っている。
もちろん、途中途中で特別仕様車を設定したり、ボディカラーや内装色のバリエーション変更をしたりと改良は行われているが、見た目の変更はほぼゼロ。同じボディカラーのクルマだったら2008年式なのか2018年式なのかを瞬時に判別することは不可能に近いといっていい。逆に言えば、見た目で差が出ないため、程度の良い中古車を買うにはもってこいの車種とも言えるだろう。
2)三菱RVR
初代と2代目は右側1ドア、左側がスライドドアを備えた2ドアという個性的なドアレイアウトを持った、クロスオーバーSUVミニバンとして一定の人気を集めていたRVR(2代目途中からは両側スライドドアも設定)。今でこそトヨタのポルテ/スペイドが同様のレイアウトを採用しているものの、クロスオーバーSUVでの採用というのは今見ても画期的であった。また、エンジンラインアップに同時期のランサーエボリューションにも搭載されていた4G63型インタークーラーターボエンジンが存在していたのも、三菱らしさが存分に出ていたと言えよう。
しかし、2002年に2代目の生産が終了し、8年の歳月を経て登場した3代目はアウトランダーの弟分といった感じのコンパクトSUVとなっており、エンジンも1.8リッターのNAのみといささかインパクトに欠ける車種となってしまった。2017年10月にはアウトランダーにも採用されたダイナミックシールド顔となり、人気のアクティブギアも設定されるテコ入れもなされ、エクリプス クロスが発売された現在でも継続販売されている。
3)日産エルグランド
初代、2代目と一世を風靡した「キングオブミニバン」のエルグランド。しかし、2010年に登場した3代目は、トヨタが真っ向勝負を挑んできたアルファード/ヴェルファイアに対抗しきれず、販売面では大きく水を開けられてしまう格好となってしまった。2015年にはアルファード/ヴェルファイアがフルモデルチェンジを行うも、エルグランドは3代目を継続販売している。
内装の作りや高級感、動力性能に関して言えばアルファード/ヴェルファイアに負けずとも劣らない実力を持っているエルグランドではあるが、ハイブリッドの設定がなかったり、衝突被害軽減ブレーキがいまだに設定されていない(踏み間違え衝突防止アシストはあり、クリープ時の衝突回避アシストはするが)など、先進装備で水を開けられてしまっているというのが現状だ。根強いファンもいる車種であるから、ぜひ新型では再び人気車種に返り咲いてもらいたいところだが果たして……?