技術の進歩によりそれぞれのデメリットは減っている
■4WD
●メリット
・当然ながらトラクションが高いため雪道などの滑りやすい道でも発進しやすく、安全。クルマにもよるが乾燥路を含め直進安定性も高い。
●デメリット
・四輪分のドライブシャフトや前後輪双方のデファレンシャルが必要になり、前後の回転差を吸収するセンターデフに相当するパーツが必要になることも多いので、当然ながらコストが高く、重量も増え、燃費も低下する。
●まとめ
かつては「4WDは安定性は高いけど、スポーツモデルでも曲がりにくい」という時代もあったが、今ではスバルWRX STIなどを見てもわかるようにそんなことまったくない。デメリットも二輪駆動に対する差額や重量増は少なくなっており、燃費も滑りやすい路面であればロスがない分二輪駆動より有利な面もあるなど、燃費の差も縮まっている。また全体的に4WDはリセールバリュー(処分するときの査定)もいいので、必要性や興味を若干でも感じるなら選んだほうがいい駆動方式ともいえる。
■MR
●メリット
・エンジンを後ろ寄りに置くだけに、リヤ荷重が多いほうが有利な加減速に強い。
・エンジンというクルマで一番の重量物が中央にありフロントが軽いため、シャープな回答性を得られる。
●デメリット
・フロントが軽いため直進安定性を確保しにくい、フロントにちゃんと荷重を掛けないと曲がりにくい。
・リヤが重い分、リヤの流れ方は早くその際のコントロールは難しい傾向。
・キャビンの真後ろにエンジンがあるため静粛性は低く、リヤシートは付けられず2人乗りか、付けられても狭い。ラゲッジスペースも狭い。
●まとめ
MRは運動性能というメリットのために多くの代償を払う駆動方式で、一般的にメリットは薄い。それだけに運動性能を重視するロータスやフェラーリのようなピュアなスポーツカーやスーパーカー、フォーミュラカーのようなレーシングカーが採用することがほとんどだ。
■RR
●メリット
・ポルシェ911がRRを使う理由の1つが、当初「補助的でもいいからリヤシートを付けたかった」ことであるように、FFほどでないにせよエンジン、トランスミッションといったパワートレーンをまとめられるので、スペース効率に優れる。
・リヤが重いため、MR以上に加減速に強い。
●デメリット
・リヤの重さにより、MR以上にフロントにちゃんと荷重を掛けないと曲がりにくい。リヤが流れた際の挙動はピーキーで、コントロールは難しい傾向。
●まとめ
デメリットは技術の進歩や4WD化などにより減っているが、メリットが少ないのも率直なところで、現代ではポルシェ911が自らのアイコンやアイデンティティとして、バスがスペース効率に優れるため、スマートやルノートゥインゴが主に可能性の追求の目的で使っているくらいだ。
■結論
このように駆動方式ごとにメリット、デメリットはあるものの、何度か書いたように技術やタイヤの進歩によりデメリットは薄くなりつつある。それゆえ強いこだわりや4WDの必要性がない限り、クルマを選ぶ際に駆動方式はそれほど気にすることはないと考えていいだろう。