トップマークは前輪の切れ角を明確にするため
スポーツカーや競技車両にはステアリングのトップの部分(12時の位置)に、黄色や赤のラインが入っているクルマがある。あのラインはセンターマーカーやステアリングマーカー、もしくはトップマーク、ニュートラルマーカーといった名称で呼ばれている。
少なくとも30〜40年前からラリー/ダートトライアル/ジムカーナの選手などが、ステアリングのトップに、ビニールテープなどを自分で巻いてステアリングのセンター=ニュートラルの位置を視認しやすくしていた記憶がある。
もちろんDIYではなく、きちんと製品化されているものも多い。今でもイタリアの名門「MOMO」のステアリングには、10種類以上の製品がラインアップされている。そうしたことから、このセンターマーカーのルーツもおそらくMOMOにあるのでは? という仮説を立てて「MOMO JAPAN」に名称・ルーツ・機能などを取材してみた。その結果、明らかになったのは下記の通りだ。
1)名称
MOMOでは、あのラインを「トップマーク」と呼んでいる。
2)起源
わざわざイタリア本社まで確認していただいたが、その起源については、正確なところはわからないとのこと。したがってトップマークの元祖=MOMOというのも不明だそうだ。
3)トップマークの機能
「トップマークは特にラリーなどのモータースポーツに根を張っているものです。ラリーでもっとも重要なことは、車両のコントロール、安定性、重量、ドライバーの感性です。ドライバーはクルマのコントロールに対し迅速に対応しなければならず、車輪の位置を知覚する最良の方法は午前12時の位置に派手な色(通常は黄色)をインサートすることです。つまり、トップマークは前輪の真っ直ぐな位置を明確にマークするためのものです」とのことだった。
サーキットレースや公道では、速いスピードで大きな舵角を当てたり、派手にカウンターステアを当てる機会は少ないためトップマークの必要性はあまり感じないかもしれない。逆に、大きく素早いステアリング捌きやフルカウンターを頻繁に行うラリーやダートラ、ジムカーナなどの種目でトップマークを重宝しているというわけだ。
また、競技車両のイメージからトップマーク付のステアリングホイールはレーシーに見えるので、ドレスアップ効果も期待できる。トップマークラインの代わりにロゴなどを入れるパターンもあるので、選択肢は意外に多く、いろいろな製品を見比べてみるのも面白いだろう。