佐藤琢磨、引退レースのダニカ・パトリックはリタイヤ
レース中の最高気温が32度に達した熱戦を制したのはペンスキーのウィル・パワーだった。
今季からマシンが一新されたインディカー。当然、このパッケージでインディアナポリスでレースをするのは今回が初めてとなる。レース前から複数台で走ると「タービュランスで直後につけられない」「前に車が居るとターンでオーバー→アンダーが出る」等々、ドライバーから不安な声が出ていた。
実際、レースはサイド・バイ・サイドやオーバーテイクが極端に少ない淡白なものと化した。厄介なマシンに手を焼き、ベテラン・ドライバーたちのクラッシュも多かった。
昨年の優勝者、佐藤琢磨もまた間接的にその被害を被ったひとりだろう。ウィッケンスを追い掛けながらターン3に入った琢磨の目の前に失速しているデイヴィソンのマシンが居たのだ。ブレーキを踏んで回避を試みた琢磨だったが追突は避けられなかった。昨年のウイナーがわずか46周で消えることになってしまった。
「ダニカ・ダブル」と銘打ってデイトナとインディの両500マイル・レースを引退興行とした女性ドライバー、ダニカ・パトリック。彼女の引退レースも68周目のクラッシュで早々に終わってしまった。
優勝争いは十分な燃料を持たないステファン・ウィルソン、ジャック・ハーヴェイに対し、正攻法のウィル・パワー、スコット・ディクソン、エド・カーペンターという構図になった。
もし、もう一回イエロー・コーションが出ていたなら、無名のステファン・ウィルソン(兄はジャスティン)の優勝となっていたのかも知れない。
だが、神は相応しい勝者を選んだ。ラスト3周でたまらずピットに滑り込んだウィルソンとハーヴェイを尻目にパワーが力走する。ずっとインディ500の勝利とは縁のなかったパワーが今回は堂々と力でもぎ取った。
2位にこれもまたポール・ポジションは3度も獲りながら、いまだに勝利のないカーペンター。
3位は、昨年の大クラッシュが記憶に新しいディクソンが入った。