自動車の性能が向上したため高い速度域での取り締まりに必要
日夜、われわれ市民の安全を守るために活動してくれる警察車両。一般的な警ら用パトカーはクラウンなどある程度車種が限られている印象がある。しかし、交通機動隊や高速隊など交通違反を取り締まるパトカーには、クラウンはもちろんさまざまな車種が導入されている。
古くは栃木県警が使用していたフォード・マスタングマッハ1や、神奈川県警の日産R33スカイラインGT-Rオーテックバーション、最近では警視庁の日産フェアレディZニスモやトヨタ・マークX +Mスーパーチャージャーといった、われわれ一般庶民ではなかなか手の届かない高級かつハイパフォーマンスなモデルも存在している。
こういった車種が導入される理由のひとつにメーカーなどからの寄贈が挙げられる。前述のマスタングはJA共済連栃木が寄贈したものだし、同じく栃木県警に寄贈されたホンダNSXも、本田技術研究所が栃木にあり、NSXの専用工場が栃木にあった関係からかホンダから寄贈されたものだった。
一方、購入されるパトカーの特殊なモデルについては、その使用用途に応じて選択されているものが多い。とくに近年、自動車の性能が大幅に向上していることを鑑みて導入されているのが、前述のフェアレディZニスモやマークXスーパーチャージャーなどだろう。取り締まりに従事するのだから、違反車に追いつけなければ意味がない。そのため、ハイスペックな車両と対等な性能を持っていなければそれも叶わないというわけである。
なかには「パトカーにこんなハイスペックな車両を採用するなんて税金の無駄遣いだ」と言う人もいるようだが、そもそもハイスペックな車両でなければ対応できない速度域での違反をする人がいるから、やむを得ず導入しているわけであり、その不満を警察に向けるのはお門違いなのである。
また、こういったハイスペックなパトカーが存在することで「違反をしたら逃げ切れない」という抑止力にもなるため、決して無駄とは言えないだろう。自分は違反しないから関係ない、というかもしれないが、暴走車に巻き込まれる可能性もゼロではないのだから。