「ツルシ」でも「イジっても」楽しめた若者に人気の車種たち
かつては各メーカーに1台は存在していたホットハッチ。それは実用的な小型ハッチバック車をベースに、元気なエンジンとやや固められた足まわりを持った車両であり、ツルシの状態ではやや物足りないものの、チューニングを施せば化ける個体も多い。車両価格も安めだったこともあり、当時の若いユーザーには人気の車種のひとつであった。
そこで今回はそんな国産ホットハッチをいくつかご紹介したい。現在も似たようなコンセプトの車両はゼロではないものの、当時ほど刺激的なものは少なくなってしまったのは残念である。
1)トヨタ・スターレット
古くはパブリカの派生車種としてパブリカスターレットと呼ばれていたこともあった、ヴィッツ登場までのトヨタのコンパクトカーの代表車種であったスターレット。FFとなった3代目以降にはターボ搭載グレードを用意し、韋駄天スターレットというコピーでも愛されていた。
軽量な個体に元気なターボエンジンという組み合わせだったため、最終型などの純正状態では1速でのスタート時にあえてターボの過給圧を下げ、ホイールスピンを抑制する機能が付いていたほどであった。
2)三菱ミラージュ
今ではタイ生産の輸入車となり、スポーティなイメージはなくなってしまったミラージュだが、初代から3代目まではターボモデル、4代目と5代目には可変バルブタイミングリフト機構のMIVECを搭載したモデルが存在していた。
1985年から98年まで開催されていたワンメイクレース、ミラージュカップのほか、ラリーやダートトライアルといった競技でも人気があったミラージュの姿は、2018年の現在でも現役マシンとして活躍する姿を見ることができる。
3)日産パルサー
すでに日本ではその名前が消えてしまったパルサー(欧州やタイなどでは復活しているが)。古くはアルファロメオと合弁会社を作り、パルサーのボディにアルファのエンジンを搭載したアルナなどをリリースしたり、4代目ではラリーでの勝利を目標にコンパクトなハッチバックボディに4WDシステムと2リッターターボエンジンを押し込んだGTI-Rを生み出したり、5代目では当時テンロク最強と謳われた185馬力のシビックタイプRを上まわる200馬力を絞り出したVZ-R N1を限定販売したりと、話題には事欠かない車種だった。
惜しむらくはその特徴的な車種、グレードが直接販売台数に繋がらなかったことと、競技の舞台でも思ったほどの好成績を挙げられなかったことだろう。しかし、当時のチャレンジングな姿勢は評価すべき点であり、現に中古車市場では価値が見いだされつつある。
4)ホンダCR-X
もともとは販売チャンネルの関係でシビックの兄弟車として売られていたバラードのスポーツバージョンとして誕生したCR-X。当初の正式名称はバラードスポーツCR-Xであった。
ただでさえコンパクトだったシビックのホイールベースをさらに短縮し、リヤのオーバーハングをスパっと切り落としたコーダトロンカスタイルで空気抵抗を低減していた(この手法は2代目プリウスなどにもみられる)。
1987年にはキープコンセプトの2代目へと進化。89年にはシビックにも搭載された170馬力を発生させるVTECエンジンを搭載したSiRグレードも追加され、よりスポーティなイメージに拍車がかかっていた。92年の3代目は急に方向転換をし、オープントップのCR-Xデルソルへと変貌したが、ホットハッチではなくなってしまったこともあり、販売面で苦戦。そのままCR-Xの歴史に終止符を打ってしまった。