見た目から走りまで細かく手を入れて商品力をアップ
ホンダのミニバン、ジェイドが大幅なマイナーチェンジを実施し、2018年5月18日に発売した。
今回もっとも大きな変更となったのは2列シート車の追加だ。つまり3列シートのミニバンに加え、2列シートのワゴンを用意したということになる。
この変更は、そもそもミニバンとして誕生したジェイドのコンセプトを否定するような内容だ。この変更のウラには、マイチェン前のジェイドに対し「3列シートが狭すぎる」、「2列目シートが2人しか座れない」などといったネガな意見があったという。
マイチェン前と新型のグレードラインアップの比較は、以下のようになる。
●マイチェン前
3列シート車(6人乗り)
ハイブリッドX ホンダセンシング(1.5リッター+i-DCD)
ハイブリッド(1.5リッター+i-DCD)
RS(1.5リッターガソリンターボ)
●マイチェン後
3列シート車(6人乗り)
ハイブリッドX ホンダセンシング(1.5リッター+i-DCD)
X ホンダセンシング(1.5リッターガソリンターボ)
2列シート車(5人乗り)
ハイブリッドRS ホンダセンシング(1.5リッター+i-DCD)
RS ホンダセンシング(1.5リッターガソリンターボ)
G ホンダセンシング(1.5リッターガソリンターボ)
このように2列シート車は、単なる3列目を廃止した仕様ではなく、5人乗りとしたことが1つのポイントだ。さらに、走り系グレードのRSは、2列目シート車のみとなり、ガソリン車以外にハイブリッドにも設定した。
もうひとつの注目はガソリン車のGグレードだ。じつはマイチェン前のジェイドには、「ジェイドは予算オーバー」「とにかく高すぎる」といった意見もあったという。そこで、ハイブリッドよりも価格帯の安いガソリンに、エントリーグレードとしてGを設定することで、より多くの人が購入できるようにしたのだ。
今回のマイナーチェンジで気になるのは、ではなぜ販売で苦戦していた3列シートである「ミニバンのジェイド」を残したのか、ということだ。これについては、まず従来のジェイドオーナーのなかに「いざというときに3列目席が使えるのがいい」という意見があったことが挙げられるという。
そしてもう一つ、じつはジェイドは知名度が低い、という意見もあったという。そこで今回2列シート車を出し、それでジェイドを知った一般ユーザーの中には「3列シート車のほうがいい」と思う人もいるだろう、ということで、選択の幅を広げるために3列シート車も残したということだ。
今回の変更はまだある。まずはRSだが、インラインタイプのLEDヘッドライト、LEDフロントフォグランプ、ハニカムメッシュのフロントグリルなどで、ワイド&ローのスタイルを際立たせるスタイリングに。加えて18インチアルミホイールもデザインを新たにしている。
XとGグレードも、フロントグリルの変更などによってエクステリアを洗練。さらにRSとGはブラックルーフを選択できるようになった。
走りの面での改良も見逃せない。エンジンスペックに変更はないものの、ガソリンRS専用のCVTセッティングにより、アクセルに対する加速のリニアさが向上した。さらに加速時は、CVTながらステップATのようにギヤが上がっていく制御を盛り込み、フィーリングをアップ。減速時もステップダウンシフト制御といって、同じく1段1段ギヤが落ちていくような制御とした。
ハイブリッドも、7速DCTのギヤレシオを変更するなど、発進加速、中間加速のレスポンスを改善している。
ブレーキにも手が加わった。ガソリン、ハイブリッド共に、ドライバーの操作に対するリニアさを向上させてコントロール性をアップ。とくにハイブリッドは、ガソリン車のブレーキまでは到達していないものの、かなりフィーリングを向上したとのことだ。
そしてRSの名に恥じないよう、18インチタイヤに合わせて、ダンパー、電動パワーステアリングのセッティングが行われ、快適かつスポーティな走りを実現。Xもダンパーの設定を変更して、より快適な走行性能を手に入れたとのことだ。
最後になるが、今クルマ選びの際にもっともユーザーが重要視するといわれるのが安全装備だ。ジェイドは自動ブレーキ、誤発振抑制機能などを含む先進の安全装備がセットになった、ホンダセンシングを全車標準装備している。
従来のユーザーから挙がったネガな要素を潰し、商品力を上げた新型ジェイド。市場での動向に注目したい。