GT500はGT-R×ミシュランの優勝!
いまだに「スーパーGT取材なんて珍しいね」と言われる私ですが…今回も行ってきました!(笑)「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACE」。毎年GWとお盆のときも富士に来ていますが、よっぽどレースのイメージが無いようです。あるいは私の影が薄いか……。
今回も500km、110周の長いレースですが、GT500クラスの優勝は23号車「MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリ組。GT300クラスは55号車「ARTA BMW M6 GT3」高木真一/ショーン・ウォーキンショ―組。
ゴールの瞬間、私は幸運にも23号車のピットで迎えましたが、そこで目撃したのはもちろん優勝を喜ぶ光景。そしてそのなかに「縁の下の力持ち」ミシュランの方の姿が。じつはタイヤの性能とレース結果は深い深い関係があります。
よくリザルトやレースのエントリーリストを見ると、どこのタイヤを装着しているかが書かれています。現在、GT500クラスで使用されているタイヤはブリヂストン(BS)、ヨコハマタイヤ(YH)、ダンロップ(DL)、ミシュラン(MI)の4メーカー。
GT500クラスは国産メーカー、トヨタ、日産、ホンダの3社によるメーカーごとの戦いですが、同じクルマでもタイヤやドライバー、メカニック、マシンのセッティングが変わると大きく変わります。
ちなみにレクサスは5チームがBS 、1チームがヨコハマ。日産はBSが1チーム、ミシュランが2チーム、ヨコハマが1チーム。そしてホンダはBSが2チーム、ヨコハマが1チーム、ダンロップが1チーム。
というわけで今回、23号車の一番の勝因をタイヤから検証してみました。
まず、一番の勝因は、路面温度とのマッチングではないかと思います。チームはあらゆる天候を想定していますが、今回は「スーパーGT Rd.2 スペシャルタイヤ」を用意。そして一番のキーは「その日の天候を読めるか?」ということ。これは、ニスモアンバサダーの柿元邦彦さんもチラッとお話していました。
そもそもスーパーGTは、世界で唯一無二のタイヤ開発ができる場。ここでの経験が圧倒的に性能の高いタイヤ開発に繋がります。ミシュランはチームにタイヤを供給するだけではなく、もちろん最終決定はチームにありながらも、チームに入り込んで意見を言うのだとか。しかもミシュランの方向性にも合わせながら行う共同作業。
今回の富士でミシュランは「勝てるタイヤ」というほど自信を持っていました。これは前日の悪天候の中での予選でも、安定したタイムを出せていることからくる自信だったようです。レースをタイヤから楽しむのならば、周回ラップに注目! 上手いドライバーであれば、ほぼ同じようなタイムを刻んでくるはず。
そしてこのスーパーGTでの経験はル・マン24時間レースなど世界の大レースでも生きています。ドライバーにとって日本のスーパーGTは、違うカテゴリーのクルマを抜くいい練習の場。日本のスーパーGTでの経験者がル・マンで優勝する機会が多いのはそういった背景もありそうです。ここで安全に効率よく抜くという経験が積めるのですから。そしてミシュランのエンジニアは1チームに1名。ミシュランの本国フランスでもリアルタイムに対応しているとか。
「優勝」という大きな目標はチームもミシュランも同じ。しかし、たとえば同じGT-Rであっても、開発されるタイヤは違うこともあるようです。レーシングドライバーは0.1のタイヤ空気圧が変わってもわかると言われています。クルマとタイヤのセットは、何を優先するかで選ぶものが変わってくるとも言います。
クルマの進歩以上にタイヤの進歩は早いのですが、理想のタイヤはどんな天候や路面状態でも速く走れることがゴール。ここを目指して、みんな戦っています。そして市販用にそれは必ずフィードバックされます。
ちなみに今回300クラスで優勝した55号車のARTAはブリヂストンタイヤ。次はそちらにも注目したいと思います。