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中国はEVタクシーが当たり前に! EVを未来のクルマと特別視している日本の危険性

中国はEVタクシーが当たり前に! EVを未来のクルマと特別視している日本の危険性

ヒュンダイも中国のローカル仕様でエラントラのEVタクシーを出展

 韓国ヒュンダイ自動車といえば、日本では乗用車販売を行っていないので馴染みが薄いのだが、世界の津々浦々で販売されているグローバルブランドとなっている。

 そのヒュンダイの中国国内におけるブランド別販売台数は、日本一のブランドであるドトヨタを凌ぐものとなっている。しかし、これには少々カラクリがあるのだ。ヒュンダイの営業力の高さは知る人ぞ知るといったレベルで、その“ドブ板営業”ぶりは結構有名な話。

 北米ではレンタカー会社へ、アジア新興国ではタクシー車両などのフリート販売が得意技であり、その成果もあって各地域では販売シェアではかなり高いランキングに入ることが多いのである。

 中国でもタクシー車両のフリート販売が得意中の得意であり、北京だけでなく広州や、VWが圧倒的に強い上海でもヒュンダイ(あるいは同グループの起亜ブランド車)のタクシーを見かけることが多い。

 北京では筆者が最初に訪れた10年ほど前は、一汽大衆(大衆はフォルクスワーゲン)のジェッタ(2代目が形を部分的に変えながら継続生産されていた)、東風シトロエンのCエリッセ(ZXベースのセダン)が圧倒的に多く、北京ヒュンダイの初代エラントラのタクシー車両が走り始めたころであった。その後Cエリッセやジェッタが生産を終了したこともあり、大部分がエラントラとなっていた。

 しかし2年前に訪れたときには、地元北京汽車のオリジナルとなるコンパクトセダンやBクラスに似ている(北京汽車はメルセデスブランドとの合弁会社があるので、あながちパクりともいえない)コンパクトハッチバックなどのEVタクシーが目立っていた。

 そして今回プレスデー翌日の特別招待日、ヒュンダイブースに現れたのがエラントラのEV仕様車。昨年8月に正式デビューしたクルマだ。飾り気のない見た目の展示車はホワイトのボディカラーで、内装を見るとシートは布製ではなくビニール地となっていた。外装の行灯や、メーターなどは装着されていないが、それがタクシーベース車であることを筆者は確信した。そして目の肥えたメディア関係者などが、さっそく注目していた。

 営業力では自信があったとしても、今の中国、しかも北京では地元北京汽車はEVにかなり積極的。EVというだけでタクシー車両として瞬く間に採用されている様子を見れば、エラントラにEVのないヒュンダイサイドも心中穏やかではなかったことだろう。

 中国のような政治体制では、日本よりも確実にEVの普及は加速度的に進む。ヒュンダイのような世界展開している大所帯であっても、中国ローカルモデル(タクシー仕様はグローバルでのエラントラではない)のEV化をスピーディに行うところは、日本メーカーも見習うべきところなのかもしれない。

 中国民族系メーカーの品質や耐久性能も向上がめざましく、長安汽車などのタクシー車両も各地で目立ってきている。タクシー車両のシェアで優位性があるといっても、けっして油断はできないのである。

 EVといえば、未来志向のデザインで最新デバイスてんこ盛りの“キラキラEV”を連想しがちだが、EVの普及先進国である中国では古いモデルや割安なコンパクトカーをベースに、実用性に特化したコストを押さえたEVのラインアップも積極的に行われている。タクシーなどのフリート向けも意識して簡素に作られており、モデルによっては補助金などの交付を受けると100万円そこそこで購入可能なモデルもある。

 日本国内では普及率が低いこともあり、EVを最新装備がコテコテについて価格の高い“未来のクルマ”と思いがちな傾向もあるが、そこが世界の潮流に乗り切れない部分ともなっているのではないかとエラントラEVを見て考えてしまった。

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