レーシングカーが金属製ペダルを使うことに由来
クルマのペダルといえば表面にゴムを使うのが定番だが、このところスポーツモデルを中心にアルミ製のペダルが増えてきている。カタログなどを見ると、「アルミの輝きがスポーツマインドを刺激します」というようなコピーが書かれているが、はたして機能的なメリットはあるのだろうか?
「アルミパッド付きスポーツペダル」の設定車種がある、某メーカーのお客さまセンターにアルミペダルのメリットを教えてくださいと訊ねたところ、「主にデザイン性で、機能的にはとくにメリットがあるわけではありません」と……。デザイン性、つまり見た目ということだが、アルミペダル=レーシーなイメージというのは、レーシングカーのペダルがアルミ製だからという影響が大きいはず。
では、レーシングカーはなぜアルミペダルを使うのか。アルミは軽量で高剛性。そして加工がしやすく、ワンオフでも作りやすい。(ゴムペダルはワンオフで作りにくい)
これらがレーシングカーのペダルがアルミ製になっている主な理由だと考えられる。一応、知人のレースメカニックの意見も聞いてみたが、彼も同様の考えだった。ただ、アルミペダルは表面が滑りやすいので、レース用のペダルは防滑加工が施されているとも付け加えてくれた。
さらにペダルの角度、面積、表面の形状などもセッティングの一部として重視している。こうした理想的なペダルを作るためレーシングカーはアルミペダルを採用しているわけだが、その分コストはかかっている。
一方、ファッション的な市販車用のアルミペダルは、レーシーな雰囲気は味わえるが、ゴムペダルよりも滑りやすいものも散見されるだけで、機能的なメリットはほとんどない(ゴムと違って、擦り減らないのがメリットといえばメリット)。しかし、クルマ好きとしては、アルミ、カーボン、チタンといった素材にどうしても弱く、惹かれてしまう部分があるのも確かなので、表面にノンスリップ対策が施されているなら肯定的にみればいいはずだ。