市街地主体なら燃費の点ではハイブリッドが断然有利になる
国産車では圧倒的人気のハイブリッド、そして欧州車に多いダウンサイジングターボ。どちらも燃費を重視したクルマではあるものの、走り、燃費性能のキャラクターはけっこう異なる。
まず、トヨタ・プリウスに代表されるハイブリッド車は、都市型生活者向きと言える。つまり、発進がモーターだけで行え、低速域でEV走行が可能なため、燃費面で有利かつ、モーター走行時の静かさでダウンサイジングターボのガソリンエンジン車を大きくしのぐからだ。低速で走っているときにミーンという車両接近通報装置の音が出るのも、走行音の静かさゆえ。ただ、モード燃費と実燃費の差が大きく、エンジン主体の走行となる高速巡行で燃費が格別に伸びにくいのもハイブリッド車だ。
一方、フォルクスワーゲンなどで数多く採用されている1.4リッター級のダウンサイジングターボは、街中ではほぼフツーの同排気量ガソリンエンジン並みの燃費性能となる。
当たり前だがつねにエンジンは働いていて、小排気量にしてターボの力を借りた時には2リッター級以上のトルクを発揮したりするわけだ。ゴルフなどに搭載されている1.4リッターTSIユニットはその好例で、トルクの太さったらハンパじゃない。スルスル、モリモリと力強く、スムースかつごきげんに加速してくれるのである。
小排気量ターボが威力を発揮し、燃費が伸びるのは高速巡行。ハイブリッド車は重いバッテリーを積んでいるのに対して、比較的軽量なのもその理由のひとつ。フォルクスワーゲン・ゴルフ7の例では20km/Lの実燃費も可能なほど。つまり、遠出の機会、高速走行する機会が多いほど、ダウンサイジングターボを選択するメリットありだ。
もちろん、ハイブリッドとダウンサイジングターボ車を単純比較することはできない。エンジン本体やミッションの出来の良さや車重によって走行フィールの良し悪しが決まり、またハイブリッドだからといってどんなクルマでも燃費が絶対的にいいわけではない。
車重に関して言えば、新型待ちですでに販売していないトヨタ・オーリスの場合、1.2リッターダウンサイジングターボと1.8リッターエンジン+モーターのハイブリッドでは90〜100kgの車重差がある。
モード燃費はハイブリッドが圧倒するものの、実燃費差は縮まる傾向にあり、またオーリスはダウンサイジングターボのほうが、走りが気持ちよく、クルマ本体の価値はパワーソースの種類やカタログ燃費だけでは決まらないということ。