初代リーフ登場から7年以上! 日産以外の国産メーカーがEVを本格量産化しない理由とは (2/2ページ)

総額5000億円に上る初期投資の回収は必須

 では、なぜ日産はほかの日系メーカーに先んじて、EV開発を推し進めているのか? 最大の理由は、2000年代中盤からの経営方針にある。

 当時、日産は次世代車開発の中長期ビジョンを作成する際、トヨタのハイブリッド車とは一線を介するような技術革新を狙っていた。さまざまな選択肢のなかから浮上したのが、EVだった。それまでも日産は、実験車両やコンセプトモデルとして、小型EVのハイパーミニを量産化した経験があったが、それらはあくまでも事業の主流ではなく、テストマーケティングの領域にとどまっていた。

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 そうした中で、日産の経営陣が財界人や政治家との日頃のつながりの中で、EVに対する大規模な投資を決めた。こうした舞台裏での交渉について関わった重要な人物らから筆者は直接、交渉の模様について話を聞いている。結果的に、日産が下したEV関連への投資金額は、一説には5000億円規模と言われている。そして、リーフを中核として商用車やクーペなどEVフルラインアップ構想の実現に向けた開発がスタートした。

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 ところが、日産の目論見に反して、リーフを起点とする世界市場でのEVシフトは起こらなかった。充電インフラ、航続距離、さらには再販価格などで課題となり、EVが一気に普及するまでには至っていない。そのため、当初予定されていたEVフルラインアップ化計画は縮小され、リーフとe-NV200、さらに新型リーフのみが量産されることになった。

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 一方で、2016年から独フォルクスワーゲングループが主導する世界的なEVシフトが始まっている。その背景には、中国が2019年から施行する新エネルギー車政策がある。日産としては、こうしたEVシフトの動きに、ほかの日系メーカーに先んじて新型EVの量産化を始める予定だ。2010年に仕掛けたEV戦略がいま、花開こうとしている。

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桃田健史 MOMOTA KENJI

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