レーンキープも可能にした第2世代へ進化
トヨタの予防安全技術は「トヨタセーフティセンスC」と「トヨタセーフティセンスP」の2種類が用意され、車格や基本設計によって使い分けられてきた。そして、アルファード/ヴェルファイアのマイナーチェンジを機に第2世代の「トヨタセーフティセンス」が登場。機能面でも進化を遂げた、新世代の予防安全技術が今後の主流になることがアナウンスされた。
進化ポイントを具体的に挙げれば、前方の状況を検知して減速・停止する自動ブレーキは車両に対応するのは当然として、歩行者(昼夜)や自転車(昼間)にも対応するほど高性能になっている。どのような進化を遂げたのか開発者に話を伺った。
「ミリ波レーダー、カメラユニットとも従来とは異なるものとなっています。カメラは解像度を上げて遠方まで状況把握できるようにしていますし、ダイナミックレンジを拡大したことで暗い状況でも把握できるようになりました。こうした進化が夜間でも歩行者を検知できる新機能につながっています。一方、ミリ波レーダーは視野角を拡大しています。これにより対応範囲が広がり、速度の速い自転車の飛び出しにも対応できるようになったのです」
そのほか新機能としてはLTA(レーントレーシングアシスト)に注目したい。これはACC作動時に車線維持操作をサポートするものだ。車線に合わせてステアリングを切ってくれるわけだが、そのためには車線を認識する必要がある。認識においては白線(区画線)だけでなく先行車の軌跡まで利用することで渋滞時のLTA機能も実現した。
「単純に白線を認識して車線の中央を維持するように操舵を制御するだけなら、それほど難しくはありません。しかし、そうするとステアリングがピクピク動いたりするためドライバーの違和感につながります。そこでトライ&エラーを繰り返し煮詰めたことで、自然に使えるように仕上げました。またACCの停止制御についても作り込んでいます。プロドライバーのような減速Gを感じさせないブレーキングも可能ですが、同じ操作を機械が行うと不安につながるというリサーチ結果を踏まえ、ドライバーが機械に任せられると感じられる制御としています」
従来からのLDA(レーンディパーチャーアラート)は、LTAのいち機能として含まれるが、こちらも白線がない状況でも色味で道路と縁石を認識するなど、より広範囲にアラートを出し、ステアリング操作支援を行なえるようになった。
もうひとつ、新機能としてRSA(ロードサインアシスト)が採用された。これはカメラによって道路標識を認識し、ディスプレイに表示して見落としを防ぐというもの。とはいえ、すべての標識に対応していては表示がせわしなくなる。
「事故防止につながる4つの標識、“進入禁止・最高速度・一時停止・はみだし通行禁止”に限って検知・表示するようにしています。とくに進入禁止は高速道路の逆走を防ぐのに効果があると期待しています」
なお、トヨタセーフティセンスには含まれないが、今回のマイナーチェンジで安全に寄与する要素としては7.6インチサイズのデジタルインナーミラーを新採用しているのもトピックだ。フル乗車時でも後方の視認性を向上させるというメリットだけでなく、鏡を使ったインナーミラーより視野角が広いというのは安全につながる部分だ。カメラユニットをウインドウ内側に配置することで雨天でもワイパーを作動させればクリアな視界を確保する。
安全について「システム自体はレクサスLS譲りのさまざまな新機能を採用」というのも、アルファード/ヴェルファイアの車格を感じさせるエピソードと言える。