若者にはCMのタレント起用効果もあり好印象
気になるのは日本におけるカローラシリーズのメインユーザーである年配層の反応である。このあたりを販売現場で聞いてみると意外な答えが返ってきた。
「今の年配のお客さまはかなりアクティブです。スマートフォンを使いこなし、インターネットやSNSで積極的に情報収集する方も珍しくありません」と話してくれた。
カローラハッチバックでも年配層への販売を不安視していない様子であった。また客観的な分析として、「今、物珍しさや先進性から3代目プリウスをご購入されて使用されている年配のお客様が代替えの時期に差し掛かっております。現状ではアクシオかプリウスあたりしか代替え候補はありませんが、カローラハッチバックはそのような代替えをご検討されている年配のお客さまの代替え車種としてもかなり有効なのです」とのことであった。
ひと言で年配ユーザーといってもじつに多様化しており、現状のアクシオ&フィールダーでも「ボディサイズが大きい」と、パッソやヴィッツ、軽自動車などへダウンサイズする層も存在する。3ナンバー化されれば、当然カローラより小さいサイズのクルマへのダウンサイズは目立ってくるかもしれないが、ユーザー層の“若返り”という面ではかなり有効ともいえ、うまくユーザーの入れ替えができれば、3ナンバー化やスタイリッシュデザインの採用によるリスクがメリットに変わるという前向きな見方もできる。
ただそうは言っても、販売現場としてはハッチバックは良しとしても、アクシオやフィールダーの3ナンバーボディ化については、漠然とした不安を抱えているのも事実である。
今の若い世代にはカローラというブランドに対するネガティブなイメージはない。かえってバブル期に青春を謳歌したオジサン世代のほうが、“80点主義(これは間違ってマイナスな意味で受け止められている)”とか、“没個性セダン”などというネガティブイメージを強く持ち続けているといえるだろう。
フィールダーのCMキャラクターとして長い間、木村拓哉氏を起用していたので、若い世代にとっては「キムタクが宣伝していたクルマ」としてポジティブなイメージを意外なほど持っていると販売現場でも驚いているという話を聞いたことがある。
また、生まれたころから自宅のクルマがミニバンという環境で育ってきた世代でもあるので、トランクのある3ボックスセダンスタイルを「格好いい」と感じている若い人も多いと聞く。そのため次期アクシオが噂通りのモデルならば、可能性は現行モデルの比ではないほど拡大していくものともいえる。
世界的にセダンはSUVに押され気味ではあるが、日本のセダン販売不振はSUVの前に、あまりにも選択肢が限定的となっていることも大きく影響しているのである。
とはいえ、やはりスタイリッシュ化や3ナンバー化のリスクは現状では計り知れないものとなっているのも確か。あくまで筆者の見立てではあるが、グレードは絞り込まれるだろうが現行アクシオがしばらく新型と併売される可能性が十分高いと睨んでいる。
ここで思い切った進化ができれば、一昨年に初代誕生から50年を迎えたカローラの“次の50年”というものへつながっていくに違いない。