今では女性から不人気のクーペスタイルがもてはやされた
最近の若い人にとっては信じられないことかもしれないが、昭和のころはクルマがあるだけでモテた時代があった。そのため、当時の若者は我先にと運転免許を取得し、なんとか捻出した予算でポンコツ中古車を購入したり、親のクルマを借りたりしてナンパに明け暮れていたのである(筆者もリアルタイムでは体感していないが)。
当時はクルマがあることがすでにステータスではあったが、その中でも鉄板のモテクルマというのも存在していた。その車種に乗っているだけでナンパの成功率が格段にアップすると言われた、そんなバブル期当時の鉄板モテクルマたちをご紹介したい。
1)ホンダ・プレリュード(2代目~3代目)
フロント部分にほぼすべてのメカニズムが凝縮されているFFレイアウトにもかかわらず、驚異的なボンネットの低さを実現していたプレリュードは、ワイド&ローなスタイルやリトラクタブルヘッドライト、サンルーフが人気の秘訣であった。そしてなぜか運転席側から助手席を倒すことができるリクライニングレバーが備わっており、これも人気の装備だった。何故かはわからないが。
1987年には3代目へとフルモデルチェンジを果たす。ルックスなどは2代目のキープコンセプトといった様相だったが、メカニズム的には量産乗用車では世界初となる機械式4WSがオプション設定されたのが最大のトピックだった。「デートカー」という言葉が生まれるきっかけともなったプレリュードだが、強力なライバルの登場によって3代目はコンセプトを変えることとなった。
2)日産・シルビア(5代目)
その強力なライバルというのが、この1988年に登場したS13型の通算5代目となるシルビアだった。「アート・フォース・シルビア」と謳われたように、その端正なクーペボディはグッドデザイン大賞を受賞するなど、高い評価を集めていた。
当時としても希少となりつつあった5ナンバーサイズのFRレイアウトはプレリュードの低いスタイルに対抗するための苦肉の策でもあったが、結果的にモータースポーツなどの走りを楽しむユーザーにも受け入れられ、登場から30年が経過した現在でも人気車種になっているのはご存じの通りである。
3)トヨタ・ソアラ(初代~2代目)
当時のモテクルマの中でも頂点に君臨していたのが、この1986年に登場した2代目ソアラだろう。当時のトヨタの技術の粋を結集したハイテクマシンでありながら、余裕の2ドアスタイル。そして、最上級グレードは当時のクラウンをも超える500万円近い価格帯と、輸入車ほどではないにせよ経済力の高さも匂わせる点で最強の1台だった。
その一方で2代目ソアラに手が出ない人たちは、初代モデルをベースにカスタムを施して街に繰り出していた。幸いにも2代目も初代もキープコンセプトで見ためが大きく変わらなかったことが幸いし、それほどクルマに詳しいわけではない女性の目を欺いていたようである。