レーシングコンストラクターの童夢が開発した歴史もある
トラックの運転席のあるスペース、あの箱の部分を『キャブ』または『キャビン』という。そのキャブの上にある、斜めの板はエアディフレクタあるいはウインドディフレクタと呼ばれるエアロパーツだ。エアディフレクタは、キャブとバン型荷台との高さの違いにより生じる空気抵抗を低減する空力パーツ。その段差が大きいトラックではエアディフレクタを装着することで、100km/h巡航燃費が5〜10%の省エネ効果が得られるスグレモノ。
ちなみにこのトラック用のエアディフレクタを最初に導入したのは佐川急便で、企画・開発はレーシングカーコンストラクターの童夢が担当したという歴史がある。また、大型トラックには運転席の後ろに仮眠用のベッドが備えてあるクルマが多いが、荷室を広くするためにキャブの前後を切り詰めたショートキャブのトラックでは、キャブのルーフの上にエアディフレクタを兼ねた仮眠スペースになっているクルマもある!
これは「スーパーハイルーフ」(日野)、「スーパーマルチルーフ」(三菱ふそうトラック・バス)、「マキシルーフ」(いすゞ)などと呼ばれる装備(オプション)。なかは意外に広く、大人1人がゆったり横になれるベッドスペースになっていて、蓄冷式冷暖房装置(空調)、網戸付きの窓、蛍光灯、カーテン、コンセント(電源)など、快適装備も充実。
長時間トラックの車内で過ごすことが多いトラックドライバーが、なるべく疲れを溜めないように、トラックメーカーはいろいろ工夫を凝らしているのだ。キャブの上に「寝室」があるなんて、キャンピングカーのようで面白いし、なんだか魅力的に思える。遠方からの荷物が驚くほど素早く、正確に手元に届けられるのは、こうしたトラックの進歩も深くかかわっていることを覚えておこう。