若年にペダルの踏み間違いが多いというデータも
自動ブレーキと称されることの多い、プリクラッシュセーフティシステムを搭載したクルマを「サポカー」と呼ぶように推進しているのは経済産業省だが、その呼び名もすっかり馴染んできた。ちなみに、自動ブレーキは必ずしも止まれるわけではなく、また対象を認識する能力もクルマ(装置)によって、さまざまだ。
とくに夜間の歩行者が検知できるシステムは少なく、またほとんどのシステムが夜間のサイクリストを検知できない。その意味では「衝突被害軽減ブレーキ」という呼び方が機能を示す表現としては適切だろう。
なお、アルファベットでは「アドバンスド・エマージェンシー・ブレーキ・システム」の略称である
「AEBS」が使われることが多い。いずれにしても、自動運転につながる技術ではあるが、現時点では運転支援システムのレベルでしかないことは承知しておきたい。
それでも、ドライビング・ミスの増える高齢者には、こうした支援システムは有効だということで、サポカーに分類されるクルマを選ぶことが推奨されている。なかでも、ペダル踏み間違い時加速抑制装置を備えたものを「サポカーS(シニアやシルバーの意味)」と呼んで、より高齢ドライバーにとって安全につながるクルマとアピールされている。
その前提となっているのは、高齢ドライバーはペダルを踏み間違える事例が増えるため防止機能は有効であろうという認識だ。こうした認識は、多くのドライバーも共有していることだろう。それが逆に「ペダル踏み間違え事故は高齢ドライバー特有」という間違えた認識につながっているキライもある。
しかし、データ※を見ると、年齢にかかわらずペダル踏み間違え事故というのは起きている、その発生率が異なるだけで、どの世代であっても注意すべきことなのだ。
※アクセルとブレーキの踏み違え エラーの原因分析と心理学的・工学的対策の提案・平成23年3月:財団法人 国際交通安全学会
そして、高齢者よりもペダル踏み間違えのミスが多く発生するという世代もある。それが、20~24歳の年齢層で、じつは高齢ドライバーよりも若年層にピークがあるのだ。また、運転免許を取りたての18~19歳についてもその母数が少ないことを考えると多めの傾向にある。
こうした背景には、運転免許の取得時期と日常的にクルマを使うようになる時期にラグがあることが考えられる。免許取り立てではマイカーを手に入れる人はそう多くないだろうし、また就職して業務で使うようになるタイミングで運転ミス由来の事故が増えるという状況が想像できる。
もちろん慣れていくことで運転ミスは減っていくのだが、前述したデータを見る限りはペダル踏み間違え防止機構のような運転支援システムは若年層にこそ有効である。とくに対歩行者のAEBSを搭載した「サポカーSワイド」をおすすめしたい。