同じ車種のエンジン車との価格差はガソリン代ではペイできない
同じモデルで、ガソリンエンジンとハイブリッド・パワートレインが設定されているとき、「ハイブリッド車を選べば価格差をガソリン代でペイできる」と考えてクルマを選ぶのは意味がない、という指摘がある。車両の価格差を鑑みれば、燃料代でその差を埋めるには、かなりの距離を走る必要があるのは事実で、「ハイブリッドカーがオトクというのは大きな勘違いだ」と指摘すること自体は間違ってはいない。今どきガソリンエンジン車の燃費も優秀で、年間5000km程度の走行であれば、燃料代で大きな差は生まれづらい。
しかし、クルマの損得に関わる要素は燃料代だけではないし、そもそもハイブリッドとガソリンエンジンのパフォーマンスは異なるケースが少なくない。
たとえば、ホンダ・フィットでいえば、量販グレードのガソリンエンジンは1.3リッターで、ハイブリッドは1.5リッター+モーターとなっている。1.3リッターエンジンの最高出力は100馬力、対してハイブリッドのシステム最高出力は137馬力。つまり、ハイブリッド・グレードは走りの余裕も実現している上に、燃費性能も優れているのであって、単なる燃費スペシャルではないのだ。
これはガソリンエンジンに例えれば、1.3リッターと1.6リッターの違いともいえるほどパフォーマンスは異なる。仮に、エンジン車でこれだけ排気量が異なるのであれば、車両の価格差は当然であるし、それをもって「損だ、得だ」と指摘することはナンセンスといえる。