【試乗】ボディも室内も拡大の「6代目VWポロ」またも走りは洗練された

走りも質感も大幅に高めたがDSGのさらなる進化に期待

 昨年(2017年)の東京モーターショーでご覧になり、存在感が高まった顔つきや3D形状で鋭く入ったサイドプレスラインなどを記憶している方も多いのではないだろうか。コンパクト市場で存在感を示し続けているVWのポロが、8年ぶりにフルモデルチェンジをした。

VWポロ

 中身は、劇的に変わったと捉えたほうが良い。その背景にはVWが設計から生産効率まで含めて最適化したモジュラー戦略「MQB」がある。衝突安全や強靭なボディ構造など、他モデルでも鍛え上げられた優れたパッケージを使用できるのだ。だからこそ走りにも期待が持てるところだが、最初にその影響もありボディが大きく成長したことを伝えよう。
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・全長は先代対比+65mmの4060mm。
・全幅は先代対比+65mmの1750mm。
・全高は先代対比−10mmの1450mm。
・荷室は先代対比+71リットルの351リットルに拡張。

 2012年にup!がVWのラインアップに導入されて以降、全モデルの車格がひとつずつ押し上げられ、今やこのポロは昔のゴルフのような雰囲気さえ漂う。そして個人的にもっとも注目したのが、ホイールベースが+80mmも拡張され2550mmになったこと。

 今さらだが、ホイールベースはそのクルマの車格を大きく左右する。基本として乗員の居住スペースはこの数値で左右されるし、乗り味の質にも大きく影響。同じ波を超える際に、小さな船より大きな船の方が揺れにくい。単純にホイールベースが長くなるほどに路面の波(うねり)の影響をいなせるようになる。
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 室内に入るとその開放的な広さに、これがポロ? とまず驚く。室内幅にも余裕があり、助手席が遠く感じるし、4人で座っても後席膝下を含めて余裕がある。
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 またセンタークラスターは横方向に厚みが増し、そこにヨーロッパでは最上位インフォテイメントシステム設定の“ディスカバープロ”が日本のポロには標準で鎮座。コネクテッド機能を活かした最新施設案内などの内容も注目だが、ガラス面で仕上げられたその見た目が内装と調和しており、室内の質感や高級感を高めているのが魅力。
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 そう、高級感という言葉が自然と使える内装の仕上がりが新型ポロにはある。ちなみにコクピットまわりの設計思想も直感的に操れることを基軸に見直され、ディスカバープロのモニターもエアコン吹き出し口の上側、もっとも目線移動の少ない場所に配置されてきた。
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 さて注目の走りだ。MQBシャシーに、1リッター3気筒の直噴ターボエンジン+乾式6速DSGを組み合わせた実力をチェックしてみた。
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 まわりくどく言っても仕方ないので、ズバッといこう。ゴルフとの明確なる差別化が、意図的に計られたようにも感じた乗り味がそこにはあった。まずお買い物クルマ的な日常使用が多い、Bセグとして大事な見切り性能はとても優れる。座った瞬間こそダッシュボードが高まり前方視界が害された感覚を抱くが、シートを高く設定すれば、水平基調が強調されたコクピットまわりのデザインにより、距離感が掴みやすく狭い道での見切りがしやすい。

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 この調子でどんどん書きたいところだが、やはり評価をわけそうなのは、3気筒と乾式DSGの組み合わせ。アクセルを少しだけ踏み込み、クルマの半クラッチ動作が終わり、クラッチが繋がってスルスルと前に進み出すまでアクセルを踏み込まずに我慢なんてことが、毎回停止状態からのスタートでできたら気にならないだろうが、稀にギクシャクするときがある。毎回ではないので神経質にならなくても良いかもしれないが、ここに路面の勾配が絡むと、さらにギクシャク頻度は高まる。燃費性能を求めたらDSGも乾式にしたいのはわかるが、湿式でスムースさをより強化してほしい。

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 またオーディオなどを大きめの音量で使用していたら気にならないが、DSG変速のカチャカチャという機械音がダッシュボード前方から聞こえてくるのも、若干質感を害する。さらには速度が上がってからの変速でもシフトショックが出やすいが、1800rpm以上回っていないとエンジンのパンチがこないので、追い越し加速などでのキックダウン頻度も多い。さらにエンジンを高回転まで使用したときの加速力自体は十分だが、“うなり”感があり質感が足らない。それら要所で感じた気になる要素を冷静に捉えると『ゴルフではこれらを的確に抑えているな……』と思ってしまう。
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 勘違いしてもらいたくないが、乗り心地は、路面の凸凹で車体ごと跳ねあげられるBセグのなかではとても優れるし、路面への張り付き感や安定感も適度にあるし、ハンドリングに至ってはとても優れる。操作性ではブレーキペダルを1cm踏み込んだ先の応答が若干鋭いが、オーナーになったら自然と慣れるレベルでもあるだろう。
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 要は、総合的にはBセグ基準ではとても優れる仕上がりなのだが、3気筒……いや乾式DSGのクセが強い。シャシーが良くなりそのほかも洗練されたことで、それが目立って来た印象さえある。

 それを踏まえると、今現在のポロの最上級装備のハイラインで265万円。対してゴルフは249.9万円という1.2リッター直噴ターボのトレンドラインがスタート価格となり、ポロより運転支援系がワンランク上になる装備系充実のコンフォートラインは279万円。エンジン排気量がさらに上がる1.4リッター直噴ターボのハイラインが325.9万円。
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 いや、VWの価格設定はうますぎる。全幅がゴルフとポロで50mm違うことによる取り回し性能が欲しければポロ、全体的な乗り味の質感や運転支援のハンドル支援まで欲しいならゴルフ、といった具合に自身のカーライフと照らし合わせることがとても大事。個人的には、あのポロのキビキビと走る素性を活かして走りを研ぎ澄ました、すでに海外では姿が見えているポロGTIに興味が向いている。
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