金利面や乗り替えなどのメリットもあるがリスク管理は必要
今メーカー系正規新車ディーラーで扱われるローンのほとんどは残価設定ローンとなっている。残価設定ローンは、3年後や5年後などの当該車両の残価率(新車販売価格に対するもの)を設定し、その残価率に基づいて算出された残価相当額をローンの最終回支払い分として据え置くことで、月々の支払い負担を軽減させるというものである。出始めのころは“リース型ローン”などとも呼ばれていた。
残価設定ローンが生まれ、積極的に導入された背景には、ディーラーサイドが顧客の囲い込みがしやすいと考えられていた面がある。
支払い最終回分の清算については現金で相殺することはもちろん、残価相当分について再ローンを組んで支払いを続けることもできる。また車両返却でも清算することが可能となっている。この最終回の精算時に「新車への代替えはいかがですか?」とセールスマンが勧めることで、同じ店での新車への代替えがスムースに進むものと考えられていた。
しかし現実はそれほど甘くなかったようで、今では年配のユーザーを中心に、車両を返却して、それ以降クルマを所有しないというひとも目立っているとのことである。
残価設定ローンは、一部を除き“クローズエンド”と呼ばれ、当初予想していたよりも中古車相場の下落傾向が激しいからといって、設定した残価が目減りすることなく保証される。しかし注意したいのは、車両返却にて清算するとしても、定められた月間走行距離をオーバーしていたり、車両の現状確認時に規定の範囲を超えた外装の傷などによる減点となってしまうと、“追い金(追加の支払い)”が発生することがあることだ。
ただ、現場で聞いてみると、「客商売なので厳密に追い金を請求するのは難しい」といった話も聞く。新車販売事情に詳しいA氏によると、「セールスマンもそのあたりは自己防衛しているようです。たとえば下取り車の状況がかなり悪かったり、走行距離が極端に多かったりしたときは残価設定ローンの積極的な利用は勧めないようです。リスクを説明し、あくまで当該お客さんの意思で利用を決めたという形にするそうです。また残価設定ローン精算時のチェックの減点のほうが、下取り査定での減点より少ないので、それほど警戒することもないようです」とのことであった。