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レストアで新車のように蘇ったスバル アルシオーネSVXに試乗! 色褪せないその乗り味とは

レストアで新車のように蘇ったスバル アルシオーネSVXに試乗! 色褪せないその乗り味とは

単なる懐かしさだけでなく今でも楽しめるGT性能

 SVXと聞いて、あのスバル・フラッグシップのフラット6モデル! と反応するクルマ好きは多い。スバリストでなくても20年前に発売されたSVXは、販売台数こそ約5年間で6000台弱と少なかったが、ジウジアーロ・デザインの流麗なクーペスタイルが印象的で、人気モデルだった。さらに3.3リッター水平対向6気筒エンジン、そしてVTD-AWD(当時はVTD-4WD)と呼ばれる電子制御式の前後トルク配分4WDシステムの組み合わせで、クルマ好きをワクワクさせたスペシャルティ・クーペだった。

 WEB CARTOP編集部の隣の席にスバルマガジン編集部があるが、そこで行われていたアルシオーネSVX復活計画が一段落したところで、ゆっくりと試乗してみることにした。

 この企画は、あるスバル関係者が屋根付きの車庫に18年間寝かせていた、3.5万㎞しか走っていないSVX(S4グレード)を譲ってもらえることからレストアがスタートした。車検が切れ、長い間走らせていないものの、車庫の中に眠っていただけあり程度は極上。SVXマイスターと呼ばれる中津スバルさんにお願いしてSVX復活計画がスタートした。

 目標は「普通に乗れるクルマに戻したい」ということだったが、マニアの多い編集部だし、計画に参加してもらったのはマニアックな自動車ジャーナリストの山本シンヤさん。「普通に走れる」ではなく「新車の状態を再現したい」ということに代わっていったのは言うまでもない。それだからすぐにでもレストアできそうだったが、意外に時間がかかった。

 たとえば、3万㎞しか走っていないから、足まわりは使えなくもないだろうが「新車当時の乗り味を確認したい」ということで、ストラットやブッシュの交換まで行っている。エクステリアも念入りに磨かれ、内装の樹脂パーツもツヤが戻っている。

 インテリアも徹底クリーニングした。本革ステアリングやエクセーヌシートも新車当時を思わせる状態にまで復活した。「走ると素晴らしいですよ。最新スバル車も驚くほど滑らかな足まわりとエンジンフィールです。6気筒の3.3リッター水平対向エンジンはスムースに回るしトルクフルです」という担当者の声を聞いていただけに、今回の試乗はワクワクしていた。

 そういえば、タイヤだが、雪道性能チェック用にヨコハマのスタッドレス・アイスガード6を履いている。ホイールはオリジナルのBBSだ。

 さて、走り始めて驚いたのは、エンジンのスムースさと同時に、雪のない舗装路でのスタッドレスタイヤのしっかり感と静かさだ。思わず本当にスタッドレスを履いているのか確かめたくらいだ。最新スタッドレスのドライ性能の良さにはびっくりする。

 ハンドリングは、タイヤのせいかシャープではないが、穏やかでちょうどいい感じ。サマータイヤだともう少しシャープになるかもしれないが、このまったり感はロングドライブに合っている。この辺りは、サマータイヤに変えて確かめてみたいところだ。

 このSVXに使われているVTD-AWDシステムは、前後のトルク配分可変型で、現在レヴォーグやWRX S4などで使われているものと基本は同じ。ただし、SVX用は前後のトルク配分が35対65でややリヤ寄り。FR的なスポーツ走りを求めた結果だろうが、現在のVTD-AWDは前後配分45対55となっている。

 高速のドライブでは、このAWD効果で直進性は抜群に良く、多少の舗装の荒れも気にせずまっすぐに走ってくれる。ワインディングでは、FRっぽいリヤの挙動が何とも言えず気持ちいい。もともと高速ツアラーをコンセプトにしたクルマだが、現在でもそのまま通用する走りに感動する。これで「アイサイトがあったらなー」と思うのは「ぜいたく」だ。

 ところで、気になるスタッドレスタイヤ付きSVXの雪道性能については、山本シンヤさんから次のようなリポートが寄せられている。

『フラット6の「EG33」の滑らかで自然なフィーリングとレスポンスの良さ、トルクを活かした4速ATの制御にもニンマリだ。かつては、「スバルは多段化に遅れている」など厳しい事を言ったこともあるが、SVXのキャラクターを考えれば、フラット6+4速ATで十分だなと、ちょっと反省……。クルーズコントロールをセットしての快適ドライブは、もっと遠くへ行ってもいいと思ったくらいである(笑)。
高速のインターを降り、一般道から谷川岳方面に登り始めると雪が降り始め、あっという間に白銀の世界。雪はどんどん強くなり積雪も増え、吹雪いているため視界もあまり良くない。
そんな状況でもSVXは何事もなくグングン進んでいく。35:65のトルク配分のVTD-AWDはコーナリング時のノーズの入りの良さや背中から押されるトラクションが気持ちよいのはもちろん、最新スバルよりもピュアで濃く感じられた。
最新モデルはACT-4のレベルアップによってVTD-AWD採用車種が減っているが、改めてVTD-AWDの優位性を再確認。基本は安定しているが、ドライバーがアクションを起こせばクルマは素直に反応。安全な場所で意図的にスライドさせてみてもコントロールは非常に楽。クローズドされた場所であればFRに近い感覚で走れると思う』(スバルマガジン)

 さて、パーキングに止めていると「このSVXは新車みたいなボディのツヤだね」とクルマ好きそうな人にお褒めの言葉をいただいた。なにしろ磨きにこだわる山本シンヤさんが見つけてきたのは、スーパーGTやニュルブルクリンクに参戦するSUBARUのマシンに近いコーティングだという。台湾のコーティング剤CHOOSE NanoTechを使っている。もともと緑色だったボディだが、深くなった色合いと濡れたような艶が出た。

 というわけで、レストアされたスバルマガジン保有のアルシオーネSVXのドライブは、気持ちよく380㎞を走った。ちなみに燃費は9㎞/Lちょっと。ときどき勢いよく走ったフラット6としては満足満足。

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