ハンドルが前後する「テレスコピック」が安価な実用車に採用されない理由とは (2/2ページ)

正しいドラポジをとればテレスコピックはいらないはずだが……

 そもそもステアリングの位置は、しっかりとドライビングポジションを決めた設計をすれば、それほど妙なものにはならないはずなんですね。日本の自動車メーカーの一部では、奇妙なくらいステアリングの位置が低く、とても適正なドライビングポジションになりません。その理由が「小柄な女性がターゲットなので……」というのですが、小柄な人はヒップポイントを上げる必要があり、逆にステアリングが低くて運転しにくくなると考えるのが普通の思考であるんですが……。

 ともかく、そうした下手な設計に対して、ユーザーが誤魔化すためのメカニズムとして、テレスコピックの存在価値があるというケースも見られます。誤魔化し切れるものではないんですけどね。

 現代のクルマでいえば、ホンダS2000はチルト機構もテレスコピック機構も持たないクルマでした。スポーツカーでドライバーのポジションがブレにくいので、ピンポイントで設定したわけです。そうした可変機構がないので、ステアリング剛性を高く、しかも軽量に仕上げることができました。開発途中では、チルト機構のないテレスコピック機能のみのメカニズムを検討したそうですが、最終的に採用されませんでした。


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