エンジンオイルだけじゃない! クルマに使われる多数の油脂類と交換時期とは

指定の交換時期から使用状況である程度の調整をすべき

 自動車にはさまざまなオイルがさまざまな部分に使用されているのはご存じの通り。ここでは、どこにどんなオイルが使われているかだけでなく、その交換時期についても紹介しよう。ちなみに交換時期は取扱説明書にあるものではなく、実際での目安としたので悪しからず。

1)エンジンオイル

 当然、エンジン内部を潤滑するもので、一番馴染みのあるオイルだろう。役割としては潤滑だけでなく、冷却や清浄などもある。交換時期としては、ロングライフ化が進み、国産車でも1万km/1年毎で問題なし。今でもガソリンスタンドなどでは、3000km/3カ月毎などというのを見かけるが、さすがに短すぎだろう。オイルも立派な資源だけに、むやみに交換するのは考えものだ。

2)MTオイル

 MTの内部はギヤが回って、シンクロがスライドしているだけなので、オイル対する負担はそれほど大きくない。交換は4万km/2年毎でよく、シフトの入りが悪くなってきたら、それ以前に替えるのもありだ。というか、その場合は早めに交換しよう。ちなみにMTオイルはオイルそのもので潤滑しているというよりも、金属表面を溶かして潤滑させている。

3)AT/CVTフルード

 油圧にも関係するのでオイルではなく、フルードと呼ばれる。交換時期についてはいろいろな意見があるもので、早い指示だと、2万km/1年ごというのも見かけるし、メーカーの指定は10万kmごとという場合もある。性能維持だけ見れば早いに越したことはないが、やはりむやみに交換するのは考えもの。

 オーバーホールを取材したり、分解した経験からすると、5万km/4年毎で問題ないと思われる。また長期間替えていない場合は、突然替えると汚れが落ちて悪さをするというが、何回かに分けて交換すれば、不具合が出ることもないだろう。また、最新のATやCVTは精度や品質が上がり、メーカー指示でも問題はなくなってきている。

4)デフオイル

 MT以上に、ただギヤが回っているだけなので、なおさらシビアになる必要はない。メーカー指示で十分だし、気になるなら、5万km/6年ぐらいで替えるといい。

 ただし、機械式のLSDを入れていたりして、負担が大きい場合は走行毎に交換する必要があったりするし、オイルも専用のものを使用する。

5)トランスファー

 主にFRベースの4WDにしかないが、リヤへのプロペラシャフト部分にギヤが使われている。パーツとしては小さいが、中にはオイルが入っていて、潤滑している。こちらもただ回転しているだけなので、デフオイルと同時の交換でいい。それよりも問題なのは、存在を知らず、交換しないことだ。

6)ブレーキフルード

 以前は車検毎の分解。さらにフルードは1年毎の交換が鉄則で、守らないと内部が錆びだらけ、ということもあったが、現在は内部の表面処理もよくなり、車検毎の交換で問題なし。もちろんハードブレーキを繰り返すような走りをしたら、その都度交換だ。

7)パワステフルード

 電動化が進み、新車では油圧はほぼないが、油圧パワステ車が現役で走っているのも事実。メーカー指定は無交換や10万km毎と長いが、実際はけっこうな負担がかかっていて、2万km毎に交換するとステアリングのフィーリングもよくなるし、長く乗っていると不具合が出やすいステアリングラックの寿命も伸ばすことができる。

 最後にシビアコンディションについて。各メーカーとも、シビアコンディションでの使用時として、通常の交換時期よりも短い期間を指定していることが多い。だいたい半分だろうか。

 じつは今回紹介したインターバルもシビアコンディションに近かったりする。シビアコンディションというと、悪路を走ったり、荷物を大量に積んだりといったイメージがあるが、じつはストップアンドゴーが多いとか、低速での走行が多いなど、日常的なシーンも条件に入っていたりする。メーカーの指示に従うにしても、自分の使い方を元にして、シビアコンディションなのかを判断してみてほしい。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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