自動車エンジンの燃焼エネルギーは大半がムダになっているという噂は本当か? (1/2ページ)

効率のいいエンジンでも60%もムダになっている

 普通のクルマって、走ると熱くなりますね。エンジンルームの中は熱気がこもり、フロアの下を通る排気管も熱くなります。発生する方法は違いますが、ブレーキも熱くなりますね。

 こうした熱くなった部分というのは、基本的にエネルギーが熱に変換された、ということを示しています。ヒーターや湯沸器であれば有効な熱ですが、エンジンルームや排気管の熱というのは破棄された熱になります。つまり無駄になっているんですね。

 燃料の持つエネルギーをどれだけ動力として取り出すことができるか? これをエンジンの熱効率といいます。今、ガソリンエンジンの熱効率は最高で40%前後です。10年くらい前までは30%程度でしたから、低燃費の技術競争もあって大きく進化しているわけです。

 そうは言っても、ともかく40%しか動力になっていないわけで、残りの60%は捨てていることになります。エンジンルームの熱や排気管の熱も、熱として捨てられたエネルギーです。またエンジンの排気音は、音として捨てられたエネルギーなのです。

 しかし普通のガソリンエンジンは、もっと熱効率が低いのです。あるエンジンの熱効率が最大となるのは全負荷に近いところなんですね。アクセルはほぼ全開で、エンジンパワーと要求されている駆動力が釣り合っていて、つまり加速も減速にもならないようなときに、熱効率が最大になるんです。

 もし加速してしまうと、エンジン自体を加速させるための抵抗が増えるので、熱効率としては下がってしまいますし、そもそも加速できるということは全負荷に対して余裕が残っていたことになります。


新着情報