場合によっては金利をカバーできることも
新車購入時の”値引き”というのは、いくつかのポケットから出たものが集まって構成されている。そのなかでもっとも大きなポケットは車両本体価格からの値引き額(車両本体値引き)となる。車両本体値引きの原資は車両本体価格を構成する中の、ディーラーの利益分からとなる。近年ではディーラー利益の構成比は少なくなってきているので、車両本体値引きだけではなかなか値引きは拡大しない。
そこで次のポケットとなるのが用品値引き。カーナビやフロアマット、フォグランプなどのオプション総額からだいたい20%程度の値引きを引き出せれば成功といえよう。
さらに値引き支援として重要な役割を果たすのが下取り査定額の上乗せとなる。下取り査定により、当該車両の現状の価値を”値踏み”して算出するのが下取り査定額となる。ただ商談を進めていくなかで、お客の要求する予算に値引きを拡大しても、どうしても追いつかないときに、下取り査定額に値引き支援として、値引き不足分を上乗せするのである。
下取り査定額は商談が進むなかでアップしていくものなので、早々に条件がいいからと買い取り専業店へ売却してしまうと、下取り車なしということになるので、値引き自体が伸び悩んでしまうことにもつながってしまうのである。
以上の3つが新車の値引き額の構成比率が高いものとなっている。
加えてローンを利用することで値引きアップを引き出すことが可能となる。ディーラーで申し込むローン(ディーラーローン)は、今ではメーカー系信販会社のものがほとんどとなっているが、ディーラーとは別会社となるので、ディーラーは提携している信販会社のローン利用を”仲介”する立場となる。
そしてお客が提携信販会社のディーラーローンを使うと、ディーラーは提携信販会社からバックマージンをもらうことになる。そしてこのバックマージンの一部が車両本体値引き、用品値引き、下取り査定の上乗せのほかさらに値引き支援としてあてがわれるのである。
「それじゃローンを組んだほうが得じゃん」と考えるのは少々早合点。ローンを組めば当然金利が発生する。そのためローンを組んだほうが、現金で購入するより”絶対にお得”ともいえないのである。
ただ一部ディーラーなどで目立っている”超短期ローン”だと話は微妙である。現金一括払いを希望するお客に商談の詰めの段階で、「そんなに多くなくていいので半年ぐらいローンを組んでくれないか」というもの。
聞いたかぎりでは40万円ぐらいを割賦元金にして、半年ぐらいのプランというのが目立っているとのこと。2.9%ぐらいの低金利で元金も少ない短期ローンなので、金利もごくわずか。このリスクの少ないローンを組むことで、信販会社からのバックマージンの一部が値引きアップに充当されるのである。
結論からいけば、現金一括払いに比べ、ローンでは値引きの構成要素がひとつ増えると考えてもらいたい。ただローンを組めば当然金利が発生するので、必ずローンを組んだほうが得というわけでもないのである。